「アンデスメロン」は、「安心です」の略です。ネットが「アールスメロン」に似ていて、大変重宝された時代がありました。ところが、「アンデスメロン」は糖度を上げるとすぐに発酵してしまいます。食べ頃が続く時間が極端に短い。「安心です」どころか、「危険です」メロンなんですね。私が納品している先も、2年前まで「アンデスメロン」だったのですが、どうも評判がよろしくない。かたければおいしくありませんし、おいしいものは1日で発酵してしまいます。そこで、かわりに「タカミメロン」を持っていきました。可食期間はアンデスが4日だとしたら、タカミは10日。糖度もあり、発酵しません。赤肉のメロンであれば、「レノン」をおすすめしています。名前はジョン・レノンに由来しているそうですが、タネが少なくて、肉の厚さがどこもほとんど変わらず、皮のすぐそばまで食べられます。学校給食というのは、一度決まったメニューはめったに変えてくれません。いつまでたっても、2月にはっさく、3月に甘夏と言われ、キウイフルーツもかたいほうが歓迎される。それはないでしょう、と言ってもなかなか難しいのですが、諦めず、相談や提案をしていくべきです。
ぶどうの話に移りましょう。私はぶどうとの最初の出会いは「デラウェア」だったと記憶しています。タネありでした。そのうち、タネなしの「デラウェア」が出て、「ずいぶん食べやすくなったけど、ちょっと粒が小さいな」と思っていたところに、「巨峰」が出ました。信州の「巨峰」は、当時、びっくりするほど売れました。それからタネなしの「巨峰」が出るようになり、「もっと大きいといいのにな」と思っていたら「ピオーネ」が出ました。でも、「皮ごとは食べられないんだよな」となって出てきたのが、「シャインマスカット」です。皮のまま食べられて、甘くて、タネがなく、香りがいい。ぶどうとしては、100点満点です。山梨、長野、岡山あたりが主産地ですが、いまやぶどうの産地であればどこでも作っています。
岡山の「シャインマスカット」がまだ出たてで価格も高い頃、特上品はほぼすべて同じ仲卸さんの札がついていて、上海、香港に輸出される、と聞きました。富裕層恐るべし、と思いましたが、そのうちにおいしいものは何でも、値段のことを言わないところに行ってしまうかもしれません。
石川県の開発したぶどう「ルビーロマン」は、赤くて、ピンポン玉ぐらいの大きさがあり、1房1万円を超すものもあります。粒の大きさはすごいので、値打ちはあると思います。味も悪くはありませんが、目をつぶって食べると、「藤稔」の香りがするんですね。「巨峰」や「ピオーネ」とは違う昭和の香り。好みですが、価格を考えるとなかなか販売は難しいと思います。
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