■2016年12月18日 第9回 ねぎ・干し柿 〜 勉強品目「ねぎ」について 東京青果(株) 渥美富雄氏 |
◇勉強品目「ねぎ」 |
- 東京青果で、ねぎ販売グループのチームマネージャーをしています。今年は日照不足と台風の影響で、例年の1割減だと思ってください。価格は暮れに向けてやや上がり、年明けの3日間が高いかもしれませんが、欠品だけはしないように努力しますので、よろしくお願いします。
- 今、輸入ねぎはほぼ中国産で、日量3万ケース入っているといわれています。ということは、1ヶ月で約100万ケース。大きな農協が1年間に出すのと同じくらいの量です。中国のねぎは腐らないように水けをきって作っており、辛くてかたい。国産ねぎのほうが甘くておいしいので、ぜひ食べてほしいと思います。
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- ねぎは店売りより納めのほうが多いのではないでしょうか。そこで、私どもは、加工専門に作ってもらう取り組みをしています。私がマネージャーのうちに、1万ケースを達成したいと思っています。
- 産地には、ヌルはねぎをよく振って捨ててください、とお願いしています。なぜなら、市場についたときに箱がずぶ濡れになってしまうからです。でも栄養価が高く、免疫力を高める効果が期待できるということなので、何か方法があればいいと思います。
- 10〜11月は、1年間で最もねぎの品種、商品が多い時期です。12月は東北、北海道になり、数量はやや少なくなります。
- 品目の説明に移ります。「下仁田ねぎ」は群馬。短くて太いのが特徴です。
- 「南部太ねぎ」は青森。皮をむくと中で分けつしており、首元がばらけるのが特徴です。むきすぎると商品価値がなくなるので注意してください。生は辛いですが、加熱するとものすごく甘くなります。
- 「もがみねぎ」は山形、最上。出荷当初から最盛期にかけては、非常にやわらかくおいしいねぎです。12月は出荷終盤時期なので、かたくなってしまったものもあり、よく煮込むのがおすすめです。
- 「深谷ねぎ」は埼玉。深谷地区で作られている千住ねぎ(根深ねぎ)の総称で、これからの時期の主流です。根っこを切りすぎて伸びてくるといやがられるので、産地には茎を1cmくらい残して、とお願いしています。農薬は安全なものしか使っていませんので、青い葉っぱの部分も食べられます。ブルームのあるもののほうがおいしいのですが、最近はブルームレスが増えています。
- 「曲がりねぎ」は宮城。栽培の途中で一度抜いて、斜めに植え直して育てています。甘みが強いのが特徴です。
- 「平田赤ねぎ」は山形。庄内地区の伝統野菜です。
- 今日の「千寿ねぎ」は、埼玉県産です。栃木県産になったりすることもあります。
- 「岩津ねぎ」は兵庫。有名なねぎですが、関東で目にするのはめずらしいと思います。
- 「白美人ねぎ」は栃木。発泡スチロールで遮光しています。やわらかくて甘く、軟白ねぎの王様といってもいいくらいです。資材代がかかりすぎるので、なんとか栽培を続けてもらいたい、と思っています。
- 「あさつき」は、東京・足立のものと、山形のものがあります。同じ名前でも、まったく違うものなので、販売時は注意したほうがいいでしょう。山形のあさつきは雪の下から掘ってきます。
- 「九条ねぎ」は京都。飲食店や惣菜でよく使われます。
- 「徳田ねぎ」は岐阜。越津系で、やわらかくておいしいのですが、首がわかれやすいねぎです。
- 「リーキ」は長野。イギリスのウェールズ地方では、旗にリーキが描かれているそうです。
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◇「ねぎ」の写真 |
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◇伝統野菜のねぎについて 〜 (株)果菜里屋 高橋芳江氏 |
- 伝統野菜のねぎについて説明します。各地の在来種のねぎは、わかれやすいとか、食べにくいといったこともあるかもしれませんが、その土地に代々伝わっているもので、やはり、食べておいしいのは在来種だと思います。
- 宮城の「曲がりねぎ」は、地表がかたくて深く作れないため、一度植えてまっすぐ伸びたものをもう一度斜めに植え替えるという栽培方法になったそうです。曲げることによって、甘みが増すといわれています。
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- 山形の「平田赤ねぎ」は、在来種から選抜された品種です。講師の先生のお話に出た「レッドポアロー」も赤ねぎの一種です。名前が洋風ですが、古くから作られている在来種のねぎで、「ひたち紅っこ」はレッドポアローから作られました。
- 「下仁田ねぎ」は群馬の伝統野菜ですが、作り手さんによって栽培方法などが違います。今日お持ちしたのは、小金沢さんという農家さんが、下仁田で代々受け継がれている農法で15ヶ月もかけて作ったねぎです。収穫するまでに、2回も選別と植え替えをして、丹精込めて作られています。下仁田ねぎは霜に当たって甘くなる、といいます。寒さで青い葉が茶色く枯れてきたころがおいしい。植え替えをしないで作られ、葉が青いまま出荷している下仁田ねぎもありますが、本来は葉は枯れているものです。
- 青森の「南部太ねぎ」は、加賀群のねぎ。なんとか残そうと若者たちががんばっています。青い部分も栄養価が高いので、細かく刻んで叩いて味噌に混ぜたねぎ味噌を、湯豆腐などにつけて食べる、という食べ方を提案しています。
- 兵庫の「岩津ねぎ」、岐阜の「徳田ねぎ」は越津の系統です。どちらも代々作られてきたものですが、東京ではほとんど出回っていません。
- 「千住ねぎ」と「千寿ねぎ」はまぎらわしいですが、伝統種は「千住ねぎ」のほうです。足立区の内田さんという方が「千住ねぎ」を作っていると聞き、訪問して譲っていただきました。ちなみに「千寿ねぎ」は、ねぎ専門の商いをしているねぎ商が選別したねぎをブランド化したものです。
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■2016年12月18日 第9回 ねぎ・干し柿 〜 勉強品目「干し柿」について 橋本幾男氏 |
◇勉強品目「干し柿」 |
- 今日は、山梨のころ柿、富山の干し柿、信州の市田柿、あんぽ柿などをお持ちしました。
- 店では1キロの市田柿を10個ずつパックにして売っています。もう少しすると「平核無」の市田も入ってきます。
- 富山の干し柿は、昔より食べやすくなったと思います。
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- 今日の山梨のころ柿、原料は「甲州百目」です。「大和百目」を使っているものもありますが、甲州百目のほうがおいしいし、仕上がりがきれいです。
- あんぽ柿は、山梨のアルプス。今年はできがいいようです。高級品ですが、価格はだんだん下がってくると思います。
- りんごは岩手の「冬恋」です。価格はかなり高いのですが、試食を出すと1〜2個は買ってくれます。
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◇「干し柿」の写真 |
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