市場で試食しておいしいと感じたかんきつを売ってみたら酸味が強すぎた、というように、たまには間違えることもあります。そんなときは、素直に謝ったほうがいい。「市場で食べたときはおいしく感じたんだけど、二日酔いで舌が麻痺していたみたいで、酸味が強いんだよ…。よかったら1個100円でいいから持っていって!」とか…。このお店の人は嘘は言わないんだな、とわかっていただくと、本当においしいものをおすすめしたとき、「この人が言うならおいしいんだろう」と思ってもらえるようになります。要は、自分の信者を作ること。儲けるという字は、「信じる者」と書きます。そんな気持ちで、本当のことを本音で話すことを心がけていただきたいと思います。
さて、本日のメイン、グレープフルーツは、その名前の通り、実がブドウの房のようにくっついてなります。ビタミンC、カリウムが多く含まれ、血管を若返らせたり、心臓や筋肉の収縮を助け、新陳代謝を活発にして、血圧を下げるといった効果があるといわれています。リモネン由来の特有の香りは、それだけでダイエット効果があるという学者さんもいるくらい、優れたかんきつ類の一種です。
周年出回っていますが、旬は3〜5月、アメリカ、フロリダ産のものが非常においしい。新規のお客さまには、普段の食べ方を聞き、半分に切ってスプーンですくって食べていらっしゃるようなら、「伊予柑や甘夏のようにむくと、グレープフルーツを食べてよかった、と感じられますよ」とお話ししています。48玉も23玉も、中の房の数は同じです。ということは、外見が大きければ、1房が大きいということです。
何年か前から、グレープフルーツがあまり売れなくなってしまいました。それまでよく買ってくださったお客さまに理由を聞いたところ、降圧剤とグレープフルーツの組み合わせがいけない、とのことでした。この説は、今から約20年前、カナダの学者でフランク・ベイリーという人が公にしました。降圧剤を飲んでいる人は、グレープフルーツだけでなく、オロブロンコ、メロゴールド、晩白柚、スイーティー、文旦、はっさく、キンカン、ポンカン、伊予柑、甘夏などはNG、レモン、みかんはOKとされています。降圧剤に含まれるカルシウム拮抗薬とグレープフルーツなどの相性が悪く、効き目を進ませて血圧が下がりすぎるのだそうです。でも、カルシウム拮抗薬が入っていない降圧剤も何種類かあり、グレープフルーツなどを食べても問題ありません。「かんきつを食べたいのですが、私に合う降圧剤はありませんか?」と、病院の先生に聞いてごらんなさい、とお客さまに言ってみるのも、商売上必要なのではないでしょうか。
「国産のグレープフルーツはありませんか?」と聞かれることもあります。みかんの産地ではたいてい作っていますが、ほとんどが出荷を目的にはしていません。私は、3ヵ所ぐらいのグレープフルーツを食べましたが、あまりおいしいとは思いませんでした。高くても国産がいい、というお客さまもいるかもしれませんが、私は、今の時期、フロリダ産グレープフルーツが一番のおすすめだと思っています。
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