■2016年4月17日 第1回 開講式 〜 勉強品目「匠が選ばない野菜」について 東京青果(株) 藤原寛氏
◇勉強品目「匠が選ばない野菜」
  • 春キャベツは三浦市農協、松輪という地域のものです。漁港がありサバが有名なのですが、農業でもこだわった生産者がいる地域です。 春キャベツは冬に植えて春に収穫します。有名な産地としては、最初に三浦、次に千葉の銚子から出てきます。やわらかいので足が早く、外側の葉の色が変わったり、ゆっくり売るとロスが出てしまうことがあるので、販売の際には気をつけてください。

  • だいこんは、千葉県東葛地域のマル初組合。昔ながらの露地栽培で、八百屋さんからの人気が高い産地です。対面販売の八百屋さんは、自信を持って売れる商品を選択するのが大切だと思います。自分のお店にあった産地、等級を売っていただくといいのではないでしょうか。
東京青果(株) 藤原寛氏
  • にんじんの産地は、北海道、九州などいろいろありますが、春は徳島の春にんじんが有名です。冬にんじんとは糖度が違い、やわらかいので、煮る時間も短くて済みます。ただ、皮もやわらかいので、風に当たって黒くなることもあります。

  • 春はくさいは、茨城、常総地区のマル小組合。露地栽培で、春にしか出ません。茨城のはくさいが切れると全体の相場が上がります。そのあとは、長野など標高が高いところのはくさいが出てきます。産地リレーの中で、新しい産地のものが出てくるとそれが旬、と思って卸は販売しています。最後の産地のものや安いものはすべて品物が悪いというわけではないので、特性を知って使っていただければありがたいです。

  • 新たまねぎは、佐賀。サラダ向きで、煮込むと溶けてしまいます。北海道のたまねぎなどは、収穫したものを大きな冷蔵庫などで保管してゆっくり出すのですが、新たまねぎは収穫したらすぐに出荷されます。

  • たけのこは桜前線と同じように、南から始まり東北まで上がっていきます。産地リレーの中で、早いのは鹿児島。熊本、福岡、静岡、千葉と移り、一番遅いのが石川県です。雨が降ると掘る作業ができず、翌日の出荷量が減ります。1日経つとすぐに大きくなるので、雨の前の日のうちに掘る方が多く、出荷量も増えます。販売期間は短いですが、いい時期のものをいい形で売っていただきたいと思います。

  • ブロッコリーは1年中ありますが、この時期は、群馬の佐波伊勢崎の露地栽培、埼玉の本庄など。春ブロッコリーは結球が甘く、露地なのでアントシアンが出ますが、 ゆでれば紫は消えて青くなります。

  • ねぎは上に伸びて分けつする性質があります。頭に「ねぎ坊主」と呼ばれる花が咲いたものはかたいのでおすすめできません。太くて大きい秋冬のねぎは、2〜3月になるとかたくなります。巻きがしっかりしているものを買いたいという人もいますが、首の部分を触ったときフカフカしているもののほうがやわらかい。これから、茨城の夏ねぎが出てきます。その後は山形、秋田、青森など、東北に移ります。夏ねぎは品種自体が短いものになります。

  • かぶは、千葉の東庄。この地域では、ハウスと露地にトンネルをかけ、かぶを周年栽培しています。春の時期は春の品種を使っていますが、特に「春かぶ」という名前で出しているわけではありません。今の時期は、柏、埼玉のかぶなど、ほとんとが春かぶの品種です。かぶは首の部分を見て、古いと黒ずんでいることがあります。

  • 東京青果のホームページでは、産地、出荷リレーの情報などを掲載しています。旬のものを扱っていただければ、お客さまはついてくると思うので、チェックしてみてください。スーパーさん、八百屋さんにとって、清潔感はとても大事だと思います。まずは、お店の回りをきれいにすること。そして、葉もの、トマト、きゅうりなど、鮮度感のあるものが並んでいるお店は売れている気がします。鮮度のいいもの、新しいものがあると、お客さまに「明日も来よう」と思っていただけるのではないでしょうか。毎日足を運んでいただける環境が作れれば、自ずと口コミでお店の評判も広がると思います。われわれはいいものを集荷してみなさんにお届けするのが仕事です。みなさんがそれをたくさん売ってくだされば、産地に新しいものも提案できます。今年1年間、私もしっかり勉強したいと思っていますので、よろしくお願いします。

◇「匠が選ばない野菜」の写真
春キャベツ
(神奈川・三浦)
春だいこん
(千葉)
春はくさい
(茨城)
新たまねぎ
(佐賀)
新たけのこ
(石川・金沢)
新たけのこ
(静岡)
ブロッコリー
(群馬)
ねぎ
(千葉)
かぶ
(千葉)