■2017年2月19日 第11回 産地視察 in 茨城 〜 むつみ農園
 まずは、つくば市でさまざまな種類のいちごを栽培しているむつみ農園へうかがいました。
【果菜里屋 高橋芳江さんより】
  • むつみ農園さんには9時半頃到着予定で、残念ながらいちご狩りはできません。これだけ大勢で圃場に入ってしまうと、いちごを傷めてしまうので、ご了承ください。いちごの食べくらべをして、お土産も1パックずつあります。むつみ農園さんでは、私の知っているだけでも、「アイベリー」、「とちおとめ」、「さちのか」、「紅ほっぺ」、「白いちご」、「いばらキッス」、「おいCベリー」、「おおきみ」、「桃薫」など、いろいろな品種を作っているので、よくご覧になってください。いちごのオーナー制度というのがあり、果菜里屋のいちごも植わっています。

【むつみ農園の見学と酒井成人さんのお話】

むつみ農園に到着
いちごのハウスまで歩いて移動

むつみ農園の酒井成人さん
酒井成人さんの話しを聞く塾生

オーナー制度のハウス
ハウスで実っていたいちご

オーナーハウス、果菜里屋の区画
果菜里屋のいちごを収穫する高橋芳江さん

ハウス見学中-1
ハウス見学中-2

  • 1列で横を通りながら見学してください。いちごは素手で触れると、そこから傷んでしまうので、作業は必ず手袋をはめて行います。見学の際も、いちごには手を触れないでください。また、コートのフードなどがひっかかると、枝が折れてしまい、赤くはなりますが、栄養が行き届かず甘くなりません。気をつけてください。

  • 受粉のために蜜蜂が飛んでいます。めったに刺しませんが、まれに刺すことがあります。過去に刺されたことがある方はお気をつけください。

  • いちごのオーナーになってくれた方の区画には、1間に7株のいちごを植えてもらっています。毎週200〜300グラム収穫でき、1ヶ月1キロを目指しています。もし1キロに満たなかったら、その分は保証しています。それが2〜4月まで続くので、かなりお得だと思います。品種は、子どもたちが喜ぶように、形が暴れやすいものを植えています。

  • ハウスは、夜は0℃で昼間は30℃。甘みが出るように、30℃の落差をつけています。

  • 生産効率を上げるために暖房を入れる生産者もいます。そうすると倍のスピードでいちごができます。うちでは味を重視しており、急いで作りません。去年は寒かったので暖房を入れたのですが、いちごに石油のにおいがつくのでやめました。しばらくおいておけば消えるのですが、うちは直売で、採れたいちごをすぐにお客さまに届けるので、このにおいが気になります。

  • いちごは採る人で10トン、採らない人で3トンといわれます。農家によって、作り方、肥料、資材など、やり方は全然違うと思います。100人いれば100通りのやり方があるといっていいでしょう。

  • 通常、いちごはランナーで苗を増やします。最近の「よつぼし」というF1品種はタネから増やすことができます。

  • 来年の苗は、いま、休眠させています。いちごは多年生植物なので、放っておけば1年中繰り返しなりますが、病気のない苗を使って新しいいちごを作るために、毎年4月に親苗を植え、子苗をとって、それを定植します。ふつうは1年ものの苗を使いますが、私は2年ものも使います。それぞれ性質があるので選別して、強い品種や形がいい品種を選び出し、そこから増やしていきます。

  • 熟してくるとガクがそり上がります。ただ、品種特性があり、「あまおう」など、九州系のものはそり上がりやすい。いくら熟しても品種によっては上がりません。

  • 今日は7種類のいちごをみなさんに食べくらべていただきます。その中に同じ品種があるので、当ててください。また、今後のいちご作りの参考にしたいので、アンケートシートを用意しました。気に入った品種に番号をつけて、感想をひとこと書いていただけると嬉しいです。

  • 食べくらべたいちごの品種は、1番がオリジナル品種で、「あかねっ娘」の実生選抜。2番は「桃薫」、桃の香りがするいちごでした。3番は「とちおとめ」、4番は「紅ほっぺ」。5番はオリジナル品種で「紅ほっぺ」の実生選抜です。6番と7番は「いばらキッス」で、温度管理が違うものです。同じ品種でも、温度で味が変わるのがおわかりいただけたでしょうか。ちなみに、正解者は3名いらっしゃいました。
いちごの食べくらべ-1
いちごの食べくらべ-2

食べくらべたいちご-1 オリジナル品種
「あかねっ娘」の実生選抜
食べくらべたいちご-2 「桃薫」

食べくらべたいちご-3 「とちおとめ」
食べくらべたいちご-4 「紅ほっぺ」

食べくらべたいちご-5 オリジナル品種
「紅ほっぺ」の実生選抜
食べくらべたいちご-6 「いばらキッス」

食べくらべたいちご-7 「いばらキッス(低温熟成タイプ)」
正解者に賞品をプレゼント

<いちご人気投票>

■投票結果
▽1位を獲得した品種は以下のようになりました。
 Best1 17票 @あかねっ娘の実生
 Best2 14票 Eいばらキッス
 Best3 13票 Fいばらキッス

▽品種ごとのランキングは以下の通りです。

品種名
獲得した票数
1位
2位
3位
@
オリジナル品種「あかねっ娘の実生選抜」
17
10
8
A
桃薫
0
4
4
B
とちおとめ
5
1
3
C
紅ほっぺ
3
5
1
D
オリジナル品種「紅ほっぺの実生選抜」
0
4
4
E
いばらキッス
14
6
5
F
いばらキッス(低温熟成タイプ)
13
7
6

 

■酒井成人さんのコメント

八百屋塾のみなさま

 「いちごの食べくらべ投票」へのご協力ありがとうございました。
 結果は意外にも@むつみ農園オリジナル品種が1位になりました。2位、3位は同品種「いばらキッス」が人気でした。

 @「あかねっ娘の実生」は、わりとさっぱりとしたストレートな甘さが特徴です。
 これに対してE「いばらキッス」は奥深い甘さ、甘さの中にほどよい酸味が特徴の品種です。F「いばらキッス」は低温で管理することにより酸味を消し、甘味を強調しています。よくいえば「甘いいちご」、悪くいえば「甘いだけのいちご」になり、好みのわかれるところです。

 消費者の8割は甘いいちごイコールおいしいいちごと評価しますが、食べくらべ、食べつくしたお客さまは、酸味がないと物足りないとおっしゃいます。

 現在、いちごは250種類以上の品種があり、また同じ品種でも、作り手や農園によって味は変わります。
 ぜひ消費者のみなさまには、自分好みのいちごに出逢えることを祈ってます。
 また、八百屋塾のみなさまには、消費者との架け橋となって奮闘していただけることを願います。

 試食していただいた「桃薫」が小粒だったせいでしょうか。コメント欄から人気がいまいちだったことがわかり、「桃董」の素晴らしさをお伝えできなかったことを反省して、より一層精進していきたいと思います。「桃薫」は、他の品種と比べ、アレルギーに対するすぐれた有用性があるとの研究も発表されています。今後は「桃薫」の味・香り・色など珍しさだけではなく機能性にも着目し、より一層販路を広げていきたい、と考えております。

 このような機会を得られ、八百屋塾のみなさまに出会えたことに感謝いたします。
 ありがとうございました。

むつみ農園
酒井 成人

 

【八百屋塾2016 第11回】 挨拶塾生よりむつみ農園白菜圃場ランチタイム