Q:夏場はなすを作られているとのことですが、その他の時期は何を作っているのですか?
A:5月下旬〜11月始めはなすを市場出荷しています。その他、夏場はトマト、きゅうり、えだまめ、トウモロコシ、秋はカリフラワー、ブロッコリーなど、さまざまなものを栽培しています。
Q:長雨のあとはなすが腐ったり、色が薄くなったりしますが、過剰な水分に弱いということでしょうか?
A:色が薄いのは日照不足です。また、なすがあまり育たない時期に雨がどっと降ると、実が割れてしまいます。皮の成長と、下から吸い上げる水分のバランスが崩れて、パンクしてしまうわけです。水分を多く含むので、傷みやすい。同じなすでも、乾燥している場合は、大きくても軽くなります。
Q:星野さんが作っているなすの品種名は? また、いまは漬け物ではなく炒め物に使うのが主なので、大きいなすが売れる傾向だと思うのですが、どうなのでしょうか?
A:品種は、「千黒2号」。一般には「千両2号」として知られている、卵形のごく普通のなすです。種苗会社によって名前が違います。一般的には大きいなすが売れますが、暑い夏場は、炒め物をしないので、小さめのほうがいい、という市場の人もいます。大きいなすがいいといっても、25日も30日もかかったものはダメで、17〜18日か、せいぜい20日ぐらいで大きくなったなすがおいしい。
Q:星野さんのお気に入りのなす料理を教えてください。
A:素揚げしたなすをめんつゆに漬けて、かつおぶしをかけて食べる「なすの揚げ浸し」がいちばんおいしい。この調理法だと、実がかたい「寺島なす」でもおいしく食べられます。また、酢飯の上に素揚げしたなすをのせて食べる「なすの寿司」も、みなさんに好評です。
Q:なすの保存についてですが、フィルムと紫色の紙で包まれているものとの違いは?
A:紫色の袋は見た目をよくするためで、箱の内側に紫色の紙があると、多少、なすの色が薄くても、よく見えます。蒸れるのを防止したければ、紙に包んでから鮮度パックに入れるといいと思います。
Q:「寺島なす」について詳しく教えてください。
A:江戸野菜研究会の大竹道茂さんが、7〜8年前に、「寺島なす」というなすが過去にあったと知って、筑波のジーンバンクでタネを200粒もらってきました。それを向島の寺島小学校で育ててもらうことになりましたが、素人が栽培するのは難しいので、私が育てて苗にして持っていきました。固定種で、タネは自家採取できますから、徐々にタネを増やしていきました。寺島小学校だけでなく、地域の商店街のみなさんも一生懸命取り組みをしてくれています。
Q:なすの育て方について、這わせていくものと、そうでないものとの違いは??
A:支柱を立てるほうは、台風などにも比較的強く、A品率が高くなります。なるべく本線に近いところにならせているので、17〜18日で大きくなります。本線から遠いと、大きくなるまでに時間がかかって、タネが黒く、かたくなり、B品になります。絶えず若い枝にならせることで、A品率を高めるわけです。コンスタントに採れるので、市場出荷にはいいのですが、苗がたくさんいるので、苗を種苗会社から買っている場合は難しいのではないでしょうか。うちでは、苗は自分で作っています。
Q:なすは何段目まで採れるのですか?
A:トマトのように「何段目」というのはなくて、高さでいうと2メートル弱くらいまで育てます。最初も最後も食味は同じです。
Q:「秋なすは嫁に食わすな」といいますが、秋なすと夏なすの違いは?
A:夏と秋で、種類や栽培方法に違いがあるわけではありません。「秋なすは嫁に食わすな」という言葉の意味は、諸説ありますが、ナス科の植物にはもともと毒があるらしく、秋になると温度が下がってきて、多少毒の濃度が高くなるので、思いやりで食べさせるな、ということだともいわれています。
|