地大豆の品種登録はむずかしいので、商標登録をとりました。「紅大豆」という名前を残そう、という意味合いで、独占するつもりはありません。「紅大豆」という名前が広がることによって、消費も広がるのではないか、と思っています。川西町は、最初に名前をつけた本家本元として、ほかのところには負けないように、品物は吟味して出荷しています。
最初は、作れば売れると考えていたのですが、生の豆なので、口に入る機会やお土産としての需要が少ない。そこで、お菓子などを作って商品化してきました。
のちほど試食していただきますが、「さくらごはんの素」は、豆そのものを炊いてもかたくてうまくいかない、といわれるので、炒ってあります。そのまま炊飯器に入れて炊くだけなので、豆料理はむずかしいと敬遠される若い方にも受けるのではないか、と考えています。炒り方を変えた、お父さんたちのビールのおつまみなど、応用した商品も作られています。本来は、生の豆を一晩水に漬けて、炊飯器で炊いたほうが、本当の意味でのさくら色のごはんになるので、青果商の方にはぜひお客さまにそのようなやり方もすすめていただきたいと思っています。
大豆は水分を嫌うので、山形のように梅雨がしっかりあるところでは栽培が大変です。普通は30cmぐらいのところを倍ぐらい深く掘り、降った雨がなるべく土壌中に残らないように対策をとっています。
在来種で、品種改良されていないので、病気に弱い。以前、タバコの後作に「紅大豆」を作ったところ、タバコのウイルスで全滅してしまったことがあります。
「紅大豆」は、豆の色が魅力ですが、今年のように夏が暑いと、サヤの両脇が白くなる。原因は研究の途中ですが、おそらく高温で色素が分解されるのではないかと考えています。
色が落ちやすいので、一晩漬けると水が真っ赤になります。それを捨ててしまうと、ただの白い煮豆にしかなりません。最初に軽く洗い、その水は捨てていただいて、水に一晩漬け、漬けた水と一緒に煮ると、チョコレート色の豆に仕上がります。
「紅大豆」のほかにも、緑色の青大豆や、白い大豆、「秘伝」という大豆など、いろいろな種類を作っています。
われわれの地域は海に面していないので、昔から、貯蔵たんぱくとして豆が大切な食糧でした。丸いままでは芯まで煮るのに時間がかかるので、「打ち豆」といって、緑色の豆を打って料理しやすくし、いろいろな煮物に入れて食べてきました。内陸特有の食材だと思います。このような地元に残った食材を大事にしながら、これからも栽培を続けていきたいと思っています。
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