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■2012年6月17日 第3回 〜 食べくらべ
◇トマトなどの食べくらべ
トマトは、愛知県の「桃太郎ヨーク」、茨城県の「マイロック」(品名は「夏娘」)、北海道の「桃太郎98」、千葉県長生の大玉トマトの4種類を生で食べくらべた。
その他、静岡や青森で栽培されたカラフルな変わり種トマト各種も試食。
料理は、トマト入りのだし巻き玉子、プチトマトの砂糖煮、トマトとコーンの夏ごはん、山形県・米沢からとどいた「うこぎ新梢」のお浸し、「月山だけ」のドレッシング和え、北海道産ホワイトアスパラガスなどを試食。
「うこぎ新梢」のお浸し
「月山だけ」のドレッシング和え
北海道産ホワイトアスパラガス
◇トマトの調理について
[矢長謙三さんより]
トマトを入れただし巻き玉子の材料の分量は、卵3個に、だし汁50cc。そこにトマトを入れます。トマトから出る水分も計算してあるので、だし汁は少なめです。しょうゆ3〜5ccを好みで加減して加えてください。トマトは玉子を巻く際の1周目に全部入れたほうが巻きやすい。
プチトマトは湯むきし、グラニュー糖で煮ました。少しだけ甘みを足せば、フルーツトマトのような感覚で食べられる、ということを認識していただければ幸いです。
矢長謙三氏
トマトのおいしさにもいろいろあると思いますが、料理人からすると、トマト自体の味を濃くしてもらったほうがありがたいです。甘みや酸味は、料理の過程で、レモンやバルサミコ、砂糖、玉ねぎを入れて補うことができますが、トマト自体の味の濃さは、料理人には出せません。
温かい調理をする人は、酸の少ないものをほしがります。イタリアントマトは、酸の少ないトマトです。火を入れたとき、すっぱいものは食べにくい。イタリアンの料理人は、その酸を甘みで中和します。家庭料理だと砂糖を使う人もいますが、プロは、玉ねぎを炒めて、その量を加減して、酸を中和させる、と言っていました。私は、トマトを煮込む料理はあまりしないので、酸のあるトマトは気をつけて買わないようにしたり、軽く砂糖を入れたりして、簡単に調理をしています。
今、「みずみずしい」というおいしさがなくなっているような気がします。みずみずしい、という文化こそが、日本のトマトのおいしさで、20年くらい前は、それが普通だったと思います。それを八百屋さんにも追い求めていただけると、私としては嬉しいので、よろしくお願いします。
[調理の先生より]
先日、日本料理を食べに行ったら、コーンのごはんが出てきたので、今日は、「トマトとコーンの夏ごはん」を作ってみました。トウモロコシは、柿沼農園さんのもの。お米は天栄米です。コーンは最初から炊き込もうと思っていましたが、柿沼農園さんに、「今日のトウモロコシは茹で時間2分がベスト」といわれたので、炊き込んだら申し訳ない、と思い、後から混ぜました。トマトもあとから混ぜています。
トウモロコシは生でも食べられるそうですが、私は、火を通したほうが好きです。
上原悠子先生
[感想など]
トマトは、全体的に味が薄め。インパクトのあるトマトが少なかった。おいしいと思ったのは、トマトの砂糖煮です。サッと煮てあるだけなのに、こんなにおいしいので、明日にでも、試食で出してみたいと思いました。天栄米もびっくりするくらいおいしかったです。
飛び抜けてこれがおいしい、というトマトはなかった。フルーツトマトは、トマトというより果物のような感覚。「グリーンひすい」などのほうが、コクがあったような気がします。料理は、コーンのごはんが甘くておいしかった。
トマトは、それぞれに味の違いがあり、食べ慣れた「桃太郎ヨーク」も悪くない、と思いました。変わり種トマトは、色を楽しむという面ではいいかもしれません。味そのものは、若干甘さがなかったり、水っぽかったりするので、組み合わせるドレッシング次第かも、と思いました。「月山だけ」は、思ったより味がよくて、おいしかった。食べやすい大きさなので、いいと思います。驚いたのが、「うこぎ新梢」。山菜が好きなので、ほろ苦い味が好みでした。天ぷらにすると苦みがなくなってしまうかもしれませんが、ぜひ天ぷらも食べてみたいです。
トマトはたくさんありすぎて、よく違いがわかりませんでしたが、北海道のものが味が濃くておいしかった。フルーツトマトはとてもおいしいのですが、値段が高いのが難点です。天栄米は、粘りがあって、すごくおいしかった。
個人的にトマトは大嫌いなのですが、正直に感想をいうと、千葉県産のトマトは、水っぽくて、あまりおいしくなかった。色も、食欲がわくような色ではない。「桃太郎ヨーク」は、青臭かった。ただ、インパクトはあるので、パスタソースなどにするにはいいのかもしれません。北海道のトマトは、青臭さはないけれど、肉質がやわらかかった。「マイロック」も、北海道のトマトに近い感じ。フルーツトマトは、確かに味はいいのですが、作られたトマトだな、と感じました。
グループ全体の意見として、トマトは、全体的にやわらかめだったのではないか、というのがありました。今日は、どれを食べても、味のバラツキはそれほどなく、おいしかったのですが、食感がやわらかすぎる、と感じました。お客さんはかたいものを望んでいるので、今日のトマトは、収穫時期なのか、収穫後の日数なのか、なぜやわらかかったのかが知りたい。
これに対し、杉本晃章氏より、「今出ているトマトは、まだほとんどが一番果か二番果。樹勢をつけるために、灌水をよくするので、そこに着果すると、水っぽく、皮が薄いものができる。店持ちも悪い。段数が上がってくれば、店持ちもよくなる。出始めはどうしてもやわらかいのが難点で、これは、どの品種、どの産地も同じ」との説明がありました。
ハウスミカンは、「みはまっこ」がすごく甘かった。うちの店は蒲郡だけしか置いていません。ほかのものも気にはなっていたのですが、高いものなので、何種類も並べることができず、今日は食べくらべができて、参考になりました。
【八百屋塾2012 第3回】
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