■2019年11月17日 第8回 ネギ類・ミカン 〜 食べくらべ

◇「ネギ類」「ミカン」の食べくらべと試食

  • ネギは、栃木の「軟白ネギ」、宮城の「曲がりネギ」、埼玉の「深谷ネギ」、東京の「千住ネギ」の4種類を軽くゆでたものを食べくらべた。

  • 料理は栃木の「軟白ネギ」と「わけぎ」を使ったネギサラダ、「千住ネギ」を使ったネギグラタン、山形「赤ネギ」のコンフィ、京都「九条ネギ」を使ったネギ塩ダレは豚肉と合わせて試食した。

  • 早生ミカンは、A「真穴」、B「興津」、C「山川」、D「西海」、 E「森繁」を食べくらべた。

ネギの食べくらべ
ミカンの食べくらべ
ネギグラタン
ネギのサラダ
豚肉のネギ塩ダレ
ネギのコンフィ
     
 
 
◇調理について
[石井玲子氏より]
  • ネギのグラタンには、「千住ネギ」を使いました。ネギはぶつ切りにして、ベーコンといっしょにサラダ油で炒め、小麦粉を加えて炒め合わせ、牛乳を少しずつ加えて、ホワイトソースを作ります。ダマができない作り方ですし、バターよりコレステロールもカットされています。チーズをかけ、オーブンで焼き色がつくまで焼きます。缶のホワイトソース、シチューのルウなどを使ってもおいしく作れます。
石井玲子氏
  • ネギのサラダには、「軟白ネギ」と「わけぎ」を使いました。切ってから30分水にさらしました。家庭ではそれほどさらす必要はありません。ザルにあげてしっかり水けを切ります。別のボウルで醤油とオリーブオイルを1:3の割り合いで混ぜ合わせ、ネギと合わせてかつおぶしをかけました。白ごま、海苔でもおいしいと思います。

  • ネギ塩ダレには「九条ネギ」を使いました。目指したのは某牛丼チェーン店のネギ塩豚丼で、ごはんによくあいます。ネギ1束に対して、鶏がら顆粒だし小さじ1、ニンニクすりおろし1かけ、塩小さじ1、ごま油大さじ2。カットしたネギをボウルであえるだけです。冷蔵庫で約1週間持ちます。豚肉は下味をつけず炒めただけです。

  • 「赤ネギ」のコンフィは、ネギは2〜4センチぐらいに切り、鍋に縦に並べます。中央にうまみの出るキノコをカットして入れ、1/4がひたるくらいまでオリーブオイルを注ぎ、120℃で12分を目安に加熱します。キノコのうまみがあるので調味料は使っていません。「赤ネギ」が手に入らない場合、加熱向きのネギを使ってください。
 
◇食べくらべの感想
  • 「軟白ネギ」は葉も白い部分も甘くてやわらかく、おいしかった。「曲がりネギ」は外はかためですが、中はやわらかく、葉は味が薄かったが、甘みはあった。「深谷ネギ」は甘みがありましたが、香りが少なく、外はかためで中はやわらかかった。全部をくらべると、「深谷ネギ」が一番かたかった。「千住ネギ」はややかたく甘みも少なかった。寒さが増すとおいしくなるのかな、と思った。お料理はどれもおいしかった。

  • 「軟白ネギ」は一番やわらかいけれど味のパンチが弱い。「曲がりネギ」が一番おいしかった。甘みも感じ、食感もよかった。「深谷ネギ」は白身がかたく青葉はそれほどかたくないのに対し、「千住ネギ」の白身は「深谷ネギ」ほどかたくなかったのに青葉はかたいという逆転現象が疑問でした。

  • 「逆転現象」は、個体差があることや、1本の長いネギをカットしているため部位による違いもあるかもしれない。

  • 「軟白ネギ」はやさしい甘みと歯ごたえがよかった。「曲がりネギ」はより甘みが強く特徴があった。「深谷ネギ」は少し青臭さを感じ、青葉はそれほどかたくなかった。「千住ネギ」はシャキシャキした食感がよかったが、青葉はやや青臭いにおいが強かった。

  • ネギの食べくらべは、違いがあまり分からなかった。おいしいと思ったのは「深谷」と「千住」。「軟白ネギ」はやわらかかったが味があまりなかったような気がする。「曲がりネギ」は期待していたが、ほかとの差がそれほどなかった。料理はどれもおいしかった。特に、「軟白ネギ」のサラダが好みだった。

  • 一番おいしかったのは「曲がりネギ」、かたかったのですが味は深く甘さもあった。「軟白ネギ」もおいしかった。「深谷ネギ」はいつも食べている感じで、「千住ネギ」はヌルっとした感じがあり、もっと寒くなるとおいしくなるのではないか。ネギが好きなのもあって、今日の料理はおかわりしたくなるくらいおいしいものばかりだった。

  • 「軟白ネギ」は、もっとやわらかいのかと思っていた。ネギサラダにするとやわらかく甘みを感じたので、ゆでるよりサラダで食べたほうがいいのではないか。ゆでておいしかったのは「曲がりネギ」と「深谷ネギ」で、甘みとやわらかさがあった。「千住ネギ」はかたくて甘みがそれほどないように感じた。お料理は、ネギ塩ダレ一番おいしかった。

  • 食べくらべは「軟白ネギ」から食べた。「軟白ネギ」の葉は噛んでいるうちに辛くなった。「深谷ネギ」は葉がシャキシャキしていておいしかった。「曲がりネギ」はかたくて食べられない部分もあった。「千住ネギ」は短く切られており、かたさを感じなかった。食べくらべは同じ長さにしないと食感を比較するのはむずかしい。「千住ネギ」が甘いのはわかったが、まだ本当においしい時期ではないようだ。料理はどれもおいしかった。

  • 「軟白ネギ」は甘みがあり、葉もやわらかくておいしかった。調理では、「赤ネギ」の食べ方が勉強になった。こういう食べ方をお客さまに伝えられるのが八百屋さんの強み。もっとネギをたくさん食べていただけるようになると嬉しい。

  • 「軟白ネギ」は、遮光してやわらかく作るなので、当然やわらかくておいしかった。ただ香りは少ない。農協はよく「軟白ネギは切って生で食べられる」と宣伝している。辛みが少なく、その通りだと感じた。「曲がり」、「深谷」、「千住」は、筋がきつく感じられたり味の濃さに若干ばらつきはあったが、どれも千住系の味わいだった。料理では「赤ネギ」が非常にやわらかく、ネギらしい主張もあってよかった。

  • ミカンはC「山川」が甘みと酸味のバランスがよかった。Aの「真穴」は酸味を強く感じたのと、皮がむきにくかった。Bの「興津」はAよりさらに酸味を感じ、甘さを感じなかった。一番おいしかったのは「森繁」。

  • Aの「真穴」は去年に比べると酸味が強い。個人的には、BとEがバランスがよかった。Eは皮がかたかったが味は濃かった。C はぼやけた味で甘みも酸味も普通か低いくらいだった。Dは酸味が強く甘みが普通で、バランスが悪かった。

  • 全体的に甘みを感じるミカンがなかった。酸味が強いのはCとEと感じた。

  • 「森繁」が一番甘みと酸味が合っていて、中の皮もやわらかく食べやすかった。「西海」はちょっと皮がかたかった。それ以外はあまり印象に残らなかった。

  • 「味丸」は甘みと酸味があり、コクもあってよかった。「真穴」は酸抜けすればもっとよくなるのではないか。あとは普通。「森繁」はもう少し甘みが出てくるといい。

  • 「森繁」は味が濃くて甘みも一番感じられた。B とDは酸味が感じられたが、Bのほうが若干味が濃くてよかった。Cの「山川」はバランスがよく、これはこれでいいのかな、という印象。Aは味が薄かった。

  • 自分は「森繁」より、「西海」が好み。「森繁」は甘みはあったが酸味が少なく、食べやすいのかもしれない。

  • 「森繁」は、今回産地で選び、5キロだけという約束で出してもらった。和歌山の有田ミカンは、早生ミカンとしてはまだ少し早い時期。それで、味がのっていない、甘みがない、酸味が強い、という印象があったかもしれない。年末はもっとおいしくなる。

  • うちでは「味丸」を買っている。台風の影響などがあり、全般的に味が落ちているのかもしれない。「興津」は先日現地で食べたときはとてもおいしかった。みかんの個体差、人による好みもあるので、味を見て好きなものを選ぶのがいいのではないか。
 
◇その他
  • 次回12月15日(日)の八百屋塾、練馬区平和台のファーム渡戸にて開催される「収穫&山分け」について、果菜里屋の高橋芳江さんから説明がありました。「馬込三寸ニンジン、練馬ダイコン、下山千歳白菜、三河島菜、品川カブなどを収穫させてもらいます。今は白菜がたくさん採れていますが、半月ほど先なのでわかりません。ご了承ください。野良仕事用の恰好、汚れてもいい服でお越しください。小雨の場合は決行します。カッパを用意するほうがいいでしょう。収穫後、持ち帰るお野菜の量がすごいので、ガラガラ引けるものや旅行用トランク、野菜を包む新聞紙などを各自用意してきてください。駐車場はありません。お車で来られる方は自力で付近のコインパーキングを探してください。子どもさん連れでもOKです」。

  • 果菜里屋の高橋芳江さんから、「西洋ナシフォーラム」の報告と、12月2日(月)に浅草で開催される「品種マッチングセミナー」のご案内がありました。「品種マッチングセミナーでは新しい商品がいろいろ紹介されます。最初から最後までは無理でも、見たいところだけを少し見ることも可能です。ご興味がある方はぜひご参加ください」。

  • クサマヒサコさんより12月7日(土)に開催される「在来ごぼうフェスタ」のご案内がありました。「講師に冨岡典子先生をお招きし、ご講演いただきます。ぜひご参加ください」。

 

【八百屋塾2019 第8回】 挨拶講演「ネギ類について」勉強品目「ネギ類」「ミカン」食べくらべ