■2019年9月8日 第6回 ウリ類・ブドウ 〜 食べくらべ

◇「ウリ科の野菜」「ブドウ」の食べくらべと試食

  • 今回は、「ウリ科野菜にはこんな食べ方がある」ということを学ぶため、トウガン、ユウガオ、キンシウリをさまざまな調理法で食べくらべた。

  • 静岡県浜松のトウガンは、スープ(小さな角切り)と塩麻婆(大きな角切り)。神奈川県三浦のミニトウガンは生でサラダに。キンシウリは酢の物。新潟県長岡のユウゴウは、地元での食べ方、刺身に(生のままスライスしてしょうゆで)。栃木県のユウガオは、青森県の郷土料理であるピリ辛の炒め煮に。

  • 山梨県のブドウ各種(富士の輝、我が道、クイーンマスカット、マドンナの宝石、美和姫、ゴルビー、ジュエルマスカット、シャインマスカット、バイオレットキング)も食べくらべた。

トウガンのスープ
トウガンの塩麻婆
ミニトウガンのサラダ
キンシウリの酢のもの
ユウゴウの刺身
ユウガオの炒め煮
ブドウの食べくらべ
   
 
◇調理について
[タナカトウコ氏、石井玲子氏より]
  • 青森県には南部地方と津軽地方があり、食文化が違います。ユウガオの炒め煮は、太平洋側の南部地方に伝わる郷土料理です。今日は時間の関係で薄切りの豚肉ですが、本来は角煮にするような肉を使います。肉を炒め、同じく大きめに切ったユウガオを入れ、水を加えて煮たら、しょうゆまたはみそベースの調味料で味つけます。家庭によって、しょうゆ味、みそ味、両方を合わせたものとさまざまですが、鷹の爪を入れて辛くするのが定番です。今日は、しょうゆとみそ、砂糖で味つけました。栃木県の丸いユウガオを使いましたが、地元では長いタイプ。スーパーでは1/4サイズの輪切りのユウガオに鷹の爪を1本入れたセットが、ラップして売られています。
石井玲子氏
  • トウガンのスープは、実際に学校給食で出しているメニューです。かつおだしに、角切りのトウガン、ニンジン、エノキダケを入れています。七夕の時期には星型のなるとを入れたり、そうめんを入れてにゅうめんにする、というアレンジもするそうです。

  • トウガンは鶏だしとの相性もいいので、塩麻婆にしました。ベースの味付けは顆粒の鶏がらだしと豆板醤です。物足りなければしょうゆを加えてもいいと思います。

  • ミニトウガンは生でシャキシャキとした食感を楽しむシンプルなサラダにしました。スライスして塩を振り、少しおいてしんなりさせて、アクを抜きます。水を絞って皿に盛り、味つけは塩、黒こしょう、オリーブオイル。ツナやハムを加えてもいいでしょう。

  • キンシウリは酢のもの。今日は和風だしを加え、酢、だしが2、しょうゆ、みりんが3の割合でマイルドな味つけにしました。キンシウリはワタとタネを取り、たっぷりの塩水を沸かして、10分ほどゆで、水にとって手でほぐします。パスタ代わりに使うとヘルシーですし、オリーブオイルやバジルペーストでも洋風においしく食べられます。ゆでずに、ホットプレートやオーブンで蒸し焼きにしてもいいそうです。味つけは、塩、こしょう、オリーブオイル。

  • 今日は出しませんが、トウガンは、レモンで甘酸っぱく煮て、アロエのようにヨーグルトといっしょに食べる、という食べ方もあります。
 
◇食べくらべの感想
  • ユウガオとトウガンは若干食感が違い、トウガンのほうが弾力やシャキシャキ感があり、ユウガオはトロッとしています。個人的にはトウガンのほうが好きです。

  • トウガンはどんな味にも染まってくれるので、いろいろな味が楽しめる野菜だと思いました。ユウゴウの刺身は、すごくおいしくて感動しました。

  • トウガンは給食以来で久しぶりに食べました。いろいろな料理に合っておいしかったです。ユウガオは初めてですが、おもしろい食感でまた食べたいと思いました。

  • ユウゴウの刺身がすごくおいしかった。トウガンは、ふだんは煮ものが多く、生でサラダにすることはなかったのですが、こういう食べ方も提案したいと思います。

  • 家ではトウガンはスープや味噌汁にするくらいで他の食べ方を知らなかったのですが、ピリ辛がよく合うのが嬉しい発見でした。生で食べるというのも考えたことすらなかったのですが、おいしかったので、今後はやってみたいと思います。

  • 食感がかたいほうが好みなので、トウガンは大きく切ってある塩麻婆がおいしかった。

  • トウガンもユウガオもあまり食べる機会がなかったのですが、やわらかい食感やシャキシャキとした食感など、面白かった。煮ものは味が染みやすいし、刺身のように生で食べると新鮮な味と食感でとてもおいしく、いろいろな可能性があると思いました。

  • 久しぶりにトウガンを食べました。ユウガオと比べると、私は慣れ親しんだトウガンのほうが好みでした。塩麻婆という新しい食べ方を家で作ってみたいと思いました。

  • トウガンとユウガオを実際に食べくらべると、商品力はトウガンのほうがあるかもしれない、と感じました。昔、実家のユウガオの味噌汁が青臭くておいしくなかったのは、皮を残していたせいだな、と25年ぶりに謎が解けてスッキリしました。

  • ブドウは、「シャインマスカット」と「バイオレットキング」がしっくりくるおいしさでした。実のやわらかさなど、ブドウによる微妙に違いは好みなのかな、と思います。これほど多くのブドウを食べくらべたことがないので勉強になりました。

  • 保育園の栄養士です。好きな味は「我が道」。マスカットは、「シャインマスカット」より「ジュエルマスカット」が好きです。保育園で出すのは「デラウェア」。1歳児でも自分で皮を出すことがきます。子供たちはすごくブドウが好きで喜んで食べます。

  • スーパーで働いています。「シャインマスカット」はとても人気がありますが、自分はそれほど好きではありません。ブドウは人によって好みが違い、すすめるのも大変です。

  • 給食は予算があるので、今日食べくらべたブドウを使うのはむずかしい。ある程度ロットも必要で、地方市場だと同じ産地と等級を揃えるのが大変です。今、「巨峰」や「ピオーネ」はおすすめですが、納めるのはオレンジ、グレープ、パイン、キウイフルーツが多く、「シャインマスカット」は注文が来ても、値段が折り合いません。

  • 全部おいしかったのですが、「ゴルビー」は皮のえぐみを感じました。

  • 「シャインマスカット」は売れるし売りやすい。生産性も巨峰に勝るそうです。きちんと評価されていい値段がついている数少ない品物かもしれません。