■2019年10月20日 第7回 キノコ類・リンゴ 〜 講演「キノコとはどのような生物か? 栽培キノコの分類と多様性」 慶応義塾大学 生物学教室(経済学部)准教授 糟谷大河氏
◇「キノコ」とは
  • キノコは動物でも植物でもない、「菌類」という生物です。

  • シイタケの傘を軸まで裂くと、繊維状にタテに分かれます。これはキノコ類の特徴のひとつで、キノコの体は菌糸でできています。

  • 植物の細胞はセルロースという食物繊維、キノコの細胞壁はキチンという物質です。植物にはキチンはなく、動物や人間は髪の毛や爪などの成分にキチンを持っています。これは、はるか昔に、キノコと動物は同じ先祖から進化したことを示しています。生物学的には、キノコは野菜売り場ではなく、肉・魚コーナーに置いたほうが近い、といえます。
慶応義塾大学 生物学教室(経済学部)
准教授 糟谷大河氏
  • かび、酵母も菌類で、見た目、大きさ、性質もさまざまです。キノコは目で見ることができますが、かび、酵母などの詳しい構造は顕微鏡でしか見ることができません。

  • 私たちが認識している菌類は約10万種。ほかに150万種の菌類があると推定されています。

  • ふだん食べているキノコはほとんどが栽培もので、日本では20種類ほど栽培されています。

  • 中国の雲南省などのマーケットでは野生のキノコが売られています。現地の人は昔から食べていますが、研究者は存在を知らず、名前がついていないものも多くあります。能登半島のキノコ祭りでも、地元の人は昔から食べている野生のキノコが大量に並びますが、私たちにはなじみのないキノコがあります。名前がついているキノコはわずかで、私たちが知らないおいしいキノコ、体にいいキノコが世界のどこかに眠っているかもしれません。
◇キノコの本体は「菌糸」
  • キノコのシーズン以外、キノコはどうしているのでしょうか。シイタケの菌床を見ると、採ったあとに白っぽい部分があります。これがキノコの本体、菌糸で、集まって白いマット状になっています。キノコが生えていない時期は、土の中や枯れた木の中、落ち葉の隙間などに菌糸を広げて生活をしています。

  • 「キノコはかびの花」です。「花」と表現したのは、キノコは植物の花を作る器官にあたるからです。キノコはタネではなく、胞子で増えます。キノコはふだん土の中などに菌糸の状態で広がっていますが、胞子を作る段階になるとキノコを生やします。

  • 世界最大の生物はキノコである、という話があります。山の土からキノコの遺伝子を調べると、山全体が同じキノコの菌糸に覆われていることがあります。キノコとしては小さいけれど、菌糸はクジラよりよほど大きい、と言えます。

  • 1992年のアメリカの研究例では、1つの種類のキノコの菌糸が面積15ヘクタール、10トンもあり、1500年以上生きていると推定されました。キノコは土の中で、寿命が長く、大きく成長する生物です。

  • シイタケのひだの表面には胞子がびっしりと並び、風や雨によって散っていきます。最近は、菌床シイタケを栽培する人が胞子アレルギーになるので、胞子ができないシイタケも開発されています。
◇子嚢菌類のキノコ
  • 食用キノコには、子嚢菌類と担子菌類の2つのタイプがあります。

  • 子嚢菌類は、胞子のために特別な袋のような子嚢を作ります。チャワンタケやベニチャワンタケは細長い袋のような子嚢を作り、その中に通常8個の子嚢胞子をもちます。

  • トリュフは子嚢菌類です。和名はイボセイヨウショウロ。黒く表面がトゲトゲしており、土の中に生え、切ると大理石のようなマーブル模様をしています。地中海沿岸、フランスやイタリアのものが最高級品とされますが、日本で見られる代表的な種類はインドやネパールで発見されたもので、学名の「インディクム」は「インドの」という意味です。

  • トリュフは日本にもあり、黒トリュフ、白トリュフをあわせて10〜20種類あると考えられています。身近なところ、たとえば、白樫やコナラの木があり、どんぐりが落ちているような公園で、地面にコケが生えているところを掘るとトリュフが採れることがあります。日本のトリュフは香りが若干弱いのですが、おいしく食べられます。

  • 森の中でイノシシが掘り返した後を見ると、食べ残したトリュフが見つかることがあります。土の中にキノコを作り、イノシシ、モグラ、ネズミなどの動物に食べられることで胞子を広げていると考えられています。

  • フランスなどでは、トリュフが生えやすい森を作って生産しているケースもあります。

  • トリュフを顕微鏡で見ると、丸い袋状の子嚢の中でトゲトゲのついた胞子を作っているのがわかります。

  • フランスではモリーユと呼ばれる食材、アミガサタケも子嚢菌類です。網目状の頭が特徴で、3月から5月の連休くらいまで生えます。です。桜やイチョウの木の下、上野公園のイチョウの木の下にもたくさん出ます。最近は日本でも知名度が上がっていますが、まだ栽培されていません。アジアの一部の国では人工栽培が始まっています。
◇担子菌類のキノコ
  • 担子菌類は菌類の3割くらいを占めます。栽培されているキノコはほとんどが担子菌類で、大半はハラタケ目。傘、その裏のひだ、柄、というパーツからなっています。

  • 担子菌類はひだの表面に担子器というツノのような突起を持つ細胞があり、その突起の上に胞子を作ります。ナメコの傘が開いていくとひだが褐色になり、マッシュルームはひだが黒くなります。これは胞子の色です。キノコの識別には、ひだの色がとても重要なポイントで、秋になると「この野生のキノコは食べられるか」と聞かれることが多いのですが、キノコの裏側のひだの色は、名前を調べる手掛かりになります。

  • シイタケやマイタケは、一般的に、菌床栽培と原木栽培が行われています。菌床栽培はキノコのエサとなるおがくずや米ぬかなどを混ぜあわせて培地を作り、タネ菌を埋め込んで作ります。もともとシイタケはシイの枯れ木に生え、それを腐らせて分解し栄養を摂るキノコです。エノキタケは榎木、マイタケはブナやミズナラの根元に生え、枯れた木、落ち葉、枯れ枝などを分解してエサにするキノコで、「腐生菌」と呼びます。

  • キノコは自然界のいらなくなったものを分解して生きています。これはとても重要で、もしキノコがいなければ、森の中は落ち葉で溢れ、枯れ木も分解されず、動物の死体やフンもそのまま残り続けます。

  • 今から約3億年前は「石炭紀」と呼ばれます。石炭は昔の植物の化石です。まだ海の中の植物が陸に上がって間もない時代で、今ほど多様なキノコがいませんでした。木が枯れても土に戻らず、残り続けて化石になったわけです。しばらくしてキノコも陸上に上がり進化しました。今はキノコがたくさんいて、自然界のリサイクルの仕組みがうまく回っています。

  • 腐生菌のキノコは、枯れた木や葉っぱなどを分解するので、キノコが好むようなエサを組み合わせた菌床を作りやすく、栽培しやすいのが特徴です。タモギタケは、北海道、日光などによく生えているニレや、柳の木を好みます。

  • 中華料理でよく使われるシロキクラゲは、他のキノコを食べる変わった生態を持っている、菌寄生菌です。菌床では初めにクロコブタケを培養し、蔓延させてからシロキクラゲを植えます。シロキクラゲの胞子が発芽するとねっとりとした酵母になり、それがクロコブタケを食べて、キノコを生やします。

  • シロキクラゲは原始的なキノコで、いろいろなキノコが進化して生まれました。日本で食べられているキクラゲ、アラゲキクラゲと似ていますが、別の種類で、白いキクラゲはシロキクラゲではなく、キクラゲかアラゲキクラゲが白くなったものです。

  • キクラゲとアラゲキクラゲは最近盛んに栽培されています。私は天ぷらで食べるのが好きです。中華料理屋でよく使われるのはアラゲキクラゲです。表面に白い毛が生えており、食べたときに少しザラッとした食感があります。キクラゲは寒冷地、アラゲキクラゲは温暖地に多く、昔は奄美や沖縄でアラゲキクラゲの栽培が盛んでした。

  • 「キクラゲ」という日本名は木に生えたクラゲという意味ですが、漢字では「木耳」、学名は「ユダの耳」。聖書に出てくる裏切り者のユダが首を吊った木にキクラゲがたくさん出てきた、という言い伝えがあり、キクラゲが耳の形に見えるので、学名「ユダの耳」になりました。中国やヨーロッパでは「耳」に見えるようです。

  • 日本国内のキノコの呼び方はさまざまで、東日本ではキノコ、関西ではタケ、中国地方ではナバと呼んだりします。北陸ではミミ、コケなど。スギヒラタケをスギゴケと呼ぶので、本当のコケのスギゴケと非常にまぎらわしい。以前石川県の博物館に勤務していた頃、キノコを採った地元の人に「コケを採ったから見てほしい」と言われ、「私はコケの専門家ではないので…」と話が通じなかったことがあります。

  • 人工栽培が最も早かったのは、フランスでのマッシュルームです。日本では、千葉、茨城、岡山などで生産されています。英語でホースマッシュルームと呼ばれるように馬と関係があり、厩舎の敷きわらで作った堆肥で栽培されます。茨城では中央競馬会のトレーニングセンターから大量のわらが出るので、周辺で生産が盛んです。マッシュルームはわらを食べるのではなく、発酵の過程で付着したさまざまな微生物を食べます。品種改良も行われ、ジャンボマッシュルームなど、いろいろな品種が出ています。

  • マッシュルームは生でも食べられるキノコで、サラダにも使われますが、これは例外です。キノコは加熱して食べてください。キチンは分解しにくい物質です。熱を通すとやわらかくなりますが、生のままだと消化不良を起こしやすくなります。

  • ヒラタケは、寒い時期に出るキノコで、地域によっては「寒タケ」とも呼ばれ、珍重されています。ヨーロッパなどでの名前はオイスターマッシュルーム。うまみ成分が強く煮込み料理などに使われます。ヒラタケは一時「シメジ」で売られましたが、最近は「ヒラタケ」で出ています。最近出回っている「霜降りヒラタケ」もおいしいキノコです。

  • ヒラタケはセンチュウという小さな動物を食べるキノコとして有名です。ヒラタケの栽培で、ひだにこぶ状のものができる病気がよく問題になります。これはキノコを食べにきたセンチュウを逆にヒラタケが食べるためで、ひだから菌糸が伸びて取り込んで丸いこぶ状の塊を作ります。これが発生すると見た目が悪いので流通にはのりません。

  • ブナシメジは、標高が高い山のブナやミズナラの枯れたところに出る、傘の大理石模様が美しいキノコです。最近は白い品種なども作られています。

  • エリンギはヒラタケの仲間で、原産地はイスラエルからエジプト、モロッコあたりの地中海沿岸で、セリ科のハーブの根に寄生します。イスラエルやエジプトでは、水辺のセリ科植物のそばに、エリンギが生えています。現地では栽培する習慣がなかったのですが、日本の研究者が見つけて、栽培技術を開発し、流通にのせました。日本には野生のエリンギはありません。

  • シイタケは、学名に"edo"とついており、日本で新種として報告されたキノコです。椎の木によく生えるので、シイタケと名づけられました。アジアでは食用としてポピュラーで、中国ではシャングー、香りのよいキノコと呼ばれています。

  • 笠が7部まで開く前に収穫したシイタケを「どんこ」と呼びます。寒い時期のどんこは、表面のひび割れが美しく、香りが強いのが特徴です。野生のシイタケも寒い時期、1〜4月に椎の森に生えます。
    シイタケの最も古い記録は『日本書紀』にあります。景行天皇が今の福岡県で、椎の木からとてもよい香りがする、と、生えていたキノコを食べたところ、とてもおいしかった、という話です。福岡県にある香椎の宮という地名はシイタケを指すという説もあります。

  • エノキタケは白いタイプが一般的ですが、野生のエノキタケは、傘が茶色で、柄の部分が黒っぽく、表面にややぬめりがあり、大きなものは傘の直径が3〜4センチくらいになります。寒い時期に生え、雪の下でも成長するので、ユキノシタとも呼ばれます。白いモヤシ状のエノキタケがメジャーになったのは、長野県中野市で、冬の農閑期に栽培が始まったからです。雪のために外では栽培できず、光が入らない納屋や倉庫の中で栽培されました。最近は野生に近いタイプも栽培されていますが、野生種には栽培品とは違った歯ごたえやうまみ成分があります。野生のエノキタケは、関東でも冬に広葉樹の切り株などに生えますが、見た目が全然違うので気がつかないと思います。

  • フクロタケは、東南アジアや中国ではメジャーなキノコです。中華料理によく使われ、日本では缶詰や冷凍で売られています。国内では沖縄などの暖地で栽培されています。タマゴのような状態から、表面がひび割れて、中からキノコが出てきます。袋をかぶっているようなのでフクロタケと呼ばれます。サトウキビの搾りかすを発酵させた培地で栽培しています。

  • ナメコの学名はナメコ、世界共通の名称です。傘の表面にはぬめりがあります。ナメクジはシイタケなどキノコが大好きですが、ナメコはあまり食べません。ぬめりにはナメクジ除けの効果があります。ナメコのぬめりがついたままのものと、取ったものをナメクジに与える実験をすると、ぬめりを取ったものは食べますが、ついたままのものは寄ってきますが滑ったりして、なかなか食べられません。ナメクジの歯はやすり状で、ぬめりをかじることができないようです。若いナメコほどぬめりが強く、傘が成長すると弱くなります。胞子が成熟していない若いナメコはナメクジに食べられたくないが、成長したナメコはむしろナメクジに食べられることによって、成熟した胞子を遠くまで広げてもらうことができます。

  • タモギタケは、おいしくて体にもいいと話題のキノコです。生だけではなく粉末が健康食品にも利用されています。

  • トキイロヒラタケもおいしいキノコで、鍋で食べるのがおすすめです。鮮やかな色は抜けますが、ほんのりピンク色が残ります。

  • ヤナギマツタケは、シャキシャキとした歯切れのよいキノコで、炒めものにおすすめです。銀座の柳の木の下など、意外に身近なところにも出ます。野生では、傘の大きさが栽培ものの2倍くらいあり、柳の木の皮を突き破って出てきます。
◇新たに栽培の可能性があるキノコ
  • オオイチョウタケは杉林に出るキノコで、非常に大きくなります。今、活用されていない杉林に菌床を埋め込んで、大量に大きなオオイチョウタケを人工栽培する研究がすすめられています。肉厚で味が濃く、しっかりとした味わいの新しい栽培キノコとして、これから有望な存在です。

  • ニオウシメジも大きくておいしいキノコで、1株の重さが80〜100キロにもなります。栽培品はそこまで大きくはなりません。シメジがそのまま大きくなったような形で、1本ずつ販売できます。味はシメジにそっくりです。南方系で、九州や沖縄では昔から食用にされました。今後は温暖化で、関東地方などに北上する可能性があります。堆肥をすき込んだところ、刈り草を埋めたところなどに発生するので、似たような条件を作れば栽培できます。畑にワラや堆肥をすき込んで菌糸を植えつけたり、プランター栽培も可能です。プランターだとあまり巨大にならないので、売りやすいかもしれません。硫黄島には野生のニオウシメジがたくさん生えていて、島に住み込んで働いているいる人たちが採って食べているそうです。
◇樹木と共生するキノコ
  • タマチョレイタケ目も、栽培キノコとして重要です。傘の裏側が網目状で、有名なのはサルノコシカケの仲間です。薬用として利用されており、とてもかたく、木を腐らせます。その仲間で、人工栽培の食用キノコの代表格がマイタケです。

  • ハナビラタケはマイタケに近いキノコで、多糖類β-グルカンが豊富に含まれ、健康食品にも使われています。カラマツ、トドマツなどに生えるので、針葉樹のチップで菌床を作って人工栽培されています。

  • ヤマブシタケはベニタケ目。木の幹に生えるきれいなサンゴ状のキノコです。ヤマブシタケは腐生菌ですが、多くのベニタケ目のキノコは、地上に生え、樹木と共生しています。

  • 共生とは、キノコの菌糸が樹木の根につき、キノコと木の間で栄養分の交換が行われる関係です。マツタケも樹木と共生しており、これらを「菌根」といいます。

  • マツタケの値段が高いのは、栽培できないからです。マツタケ山を断面にしてみると、松の根の周りに白いマツタケの菌糸があり、栄養分をやり取りしています。生きている樹木がないと生活できないので、人工栽培ができません。菌糸が根を完全に覆うことで、根は乾燥や寒さに耐性ができます。さらに、植物は作った栄養分をキノコに渡し、キノコは土から吸収した栄養分を植物に渡しています。栄養の交換が行われているので、どちらかが欠けると生きられません。マツタケだけを採ってきても共生相手である植物がいないと、栄養分が不足して育ちません。

  • ホンシメジも菌根を作るキノコで、栽培できないと考えられていましたが、研究が進んで栽培が可能になりました。植物由来の栄養分、ブドウ糖を人工的に培地に添加することで栽培に成功しました。コストがかかります。もとは千葉のヤマサ醤油が大量に生産していたのですが、その技術を別の会社に譲渡し、今売られているのは京都や滋賀産のものが多いです。根元がぷっくりと膨らむので、ダイコクシメジの名前が付けられました。

  • マツタケの栽培は、農林水産省の研究所を中心に、研究されています。去年、マツタケそっくりのキノコが工栽培に成功し、店頭に並ぶ日も近いと思います。シイ、コナラの森に出るので、バカマツタケというかわいそうな名前がついています。本物のマツタケ以上にマツタケ臭が強く、小ぶりですが味も濃いので、私は個人的にマツタケよりもバカマツタケのほうがおいしいと思ったくらいです。
◇まとめ
  • キノコと呼ばれている菌類は、子嚢菌類と、それ以外の担子菌類に分けられます。

  • 栽培キノコは担子菌類がほとんどで、日本で人工栽培されている20種類ほどのキノコのほとんどは腐生性です。

  • 生きた樹木と共生する菌根性のキノコは、ホンシメジのような一部を除き栽培が難しい。

  • 今後はニオウシメジのような新しい栽培キノコの流通が期待されています。

  • 食用や医薬品として使用されるキノコは、人間と友好的な関係。毒キノコやかびは人間と敵対関係。両面のバランスをうまく取って、菌類とつきあっていく必要があります。
◇質疑応答より

    Q:タモギタケの黄色が加熱すると落ちる理由は何ですか。
    A:黄色い色素は加熱すると分解されるため、色を保ったまま加熱調理するのはむずかしい。色素は自然の成分です。色の変化はキノコによってさまざまで、タモギタケは色が抜けますが、トキイロヒラタケの赤い色は完全には抜けません。

    Q:タモギタケの栄養にはどのようなものがありますか?
    A:β-グルカンという多糖類が豊富です。免疫力をアップさせる効果があるとされ、タモギタケに非常に多く含まれています。そこで健康食品としても使われますが、ふだんから適量を摂り続けていくことが大切です。

    Q:シイタケ、エノキタケなどに付いている白いフワッとしたものはかびですか?
    A:キノコの菌糸で、かびではありません。食べても大丈夫です。買って来て1週間以上置くとかびは生えます。緑色だったりしたら、そこだけを取り除いてもダメで、キノコの中にも蔓延しているので食べないほうがいいです。

    Q:キノコの保存方法を教えてください。
    A:3〜4日は冷蔵庫で保存、長く保存したい場合は、冷凍か乾燥するといいでしょう。キノコの成分は生のままでは消化しにくいのですが、冷凍すると繊維がバラバラにほぐれるので、栄養分が吸収されやすくなるというメリットもあります。

    Q:キノコは冷蔵保存がいいのでしょうか。温度変化はよくないと聞いたことがあります。
    A:一般家庭では、基本的には冷蔵保存。流通過程では一定の温度に保つことが大切です。乾燥を防ぐために、新聞紙、厚めの紙で包むか、アルミホイルもおすすめです。野外で採ったキノコを新鮮な状態で持ち帰りたいとき、アルミホイルで包んで常温のまま運びます。ナメコのようなキノコも、適度に水分が保持されて、なおかつ蒸れません。

    Q:賞味期限はどれくらいを目安にしたらいいですか?
    A:キノコによって違います。ヒラタケ、マイタケのような肉厚のキノコはけっこう持ちますが、シイタケは5日くらい。古くなるとお腹を壊します。購入後は3〜4日以内に食べてください。

    Q:キノコを日光に当てるといいというのは本当ですか?
    A:種類によってさまざまです。マイタケは青色ダイオードで栽培すると色つきがよくなる、といわれています。シイタケは天日干しすると凝縮されて香りが強くなります。

    Q:原木栽培と菌床栽培はどちらが多いのですか?
    A:圧倒的に菌床が多く、原木は少数です。日本では原木の供給量が足りません。原発事故の前は、福島の原木が多く使われましたが、シイタケなど一部のキノコはセシウムを選択的に吸収するので、西のほうの原木が使われています。キクラゲ、ナメコはセシウムをほとんど吸いません。菌床と原木で、栄養的な違いはそれほどありませんが、シイタケのβ-グルカンやうまみ成分は原木のほうが多い傾向はあります。ちなみに、韓国で、落雷の後にキノコが生えるといわれますが、原木に電気を流すと成長が促進されます。

    Q:タマゴタケは食べられますか?
    A:タマゴタケはおいしい食用キノコです。菌根菌なので人工栽培はむずかしいのですが、信州大学などで研究されています。傘が20センチくらいになる大きいキノコで、傘と柄の部分をフライに、小さいものはバター炒めにすると味わいが濃厚です。

 

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