■2019年4月21日 第1回 開講式 〜 勉強品目「にんじん」 東京青果(株) 勝倉俊明氏 |
- 東京青果でニンジンを担当しています。
- ニンジンは播種から収穫まで140〜150日かかります。
- 4〜5月は春ニンジンが出荷される時期で、トップバッターは徳島県産です。10月中旬から播種して1月まで。静岡県産は12〜1月にかけて播種して出荷されます。京浜市場に流通している春ニンジンは、主にこの2つです。続いて熊本や長崎、その後、千葉県の市川や船橋で作る春ニンジン。これも12〜1月にかけて播種して出荷されます。
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- 今年は、11月、12月の天候がよかったので出荷が前進し、去年に比べ3〜4月の取扱量が多くなっています。この先は、1月の乾燥と、4月に入って寒い日が続いたこともあり、遅れ気味になるかもしれませんが、今後の天候次第で回復してくると思います。
- 春ニンジンは大型のハウスで栽培されます。ニンジンには直接雨が当たらず、乾燥した中で生育するため、水分が多くてやわらかいのが特徴です。その反面、日持ちは悪く、風にあたると黒いシミが出たりしますから、取り扱いには気をつけてください。厳寒期に育つので糖度がのって甘いのも特徴のひとつです。
- 徳島県は、赤みが強い品種「あやほまれ」が主体。静岡県、千葉県は「ベータリッチ」。甘くておいしい品種ですが、非常にやわらかいので、取り扱いは気をつけてください。
- ニンジンは栄養価が高く、特に皮と実の間に栄養があるといわれています。生でもいいのですが、ニンジンに多く含まれるカロテンは油と相性がいいので、油を使った料理がおすすめです。カロテンは、免疫系、皮膚、呼吸系などにいいといわれています。
- 春ニンジンの出荷は5月いっぱいです。ぜひ店頭でたくさん販売してください。
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◇「ニンジン」の写真 |
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■2019年4月21日 第1回 開講式 〜 勉強品目「タマネギ」「山菜」などその他の勉強品目について (株)果菜里屋 高橋芳江氏 |
- 納めで飲食店からよく注文があるベビーキャロット、色が赤くておせちによく使われる金時ニンジン、珍しいところでは、紫キャロット、ニンジンの葉っぱ、パースニップ、根パセリなど。パースニップはセリ科の野菜で、ヨーロッパではスープ、シチューなどでよく食べられています。根パセリはパセリの香りが特徴の根も葉も食べられる野菜です。古くから、北ヨーロッパで煮物、揚げ物、スープなどに使われているそうです。
- 淡路の「貝塚早生」は伝統野菜のタマネギです。昔、大阪・泉州の人が神戸からタネを持ち帰って栽培を始め、それを淡路の人が島に持ち帰って作ったのが始まりといわれています。早生種で平べったい形状が特徴です。
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- 今日お持ちした淡路のタマネギは、成井さんという方が栽培したものです。「レクスター」はF1早生種で、もう少し経つと甘みも糖度も増してきます。また、成井さんは特に完熟タマネギ栽培にもこだわって、収量が少なくなってもおいしいものを食べてほしい、と葉が倒れてから1週間くらいおいて出している、と聞きました。
- タマネギは、葉っぱを食べている、ということをご存じでしょうか。上に伸びるのも葉っぱで、ここで光合成をして、可食部に栄養が貯まります。
- 淡路のタマネギは全国で3番目の収量を誇りますが、年々下がっています。農家さんの高齢化で、重いタマネギではなくレタスに変更する人が増えているそうです。
- 2月の八百屋塾で促成ものの山菜をご紹介しましたが、今回お持ちしたのはすべて天然ものです。山形県の「山菜ドットコム」、遠藤さんという方から取り寄せています。
- 彩りが美しいのは、「かたくりの花」。サッとゆでて甘酢で食べると、シャキシャキとしておいしいです。煮物に添えてもいいですし、料理屋さんでは椀物に使われます。
- 薬草としても使われる「野かんぞう」は、サッとゆでて酢味噌がおすすめです。
- 「あまどころ」はサッとゆでて食べるとアスパラのような食感です。そのままでもおいしいのですが、飾りとしてお肉にのせたりしてもおしゃれです。
- 「つりがねニンジン」は、私も初めて名前を聞きました。ニンジンの仲間ではないそうです。サッとゆでてドレッシングで食べるとおいしい、と聞きました。
- もみじの葉のような形の「しどけ」。サッとゆでてサラダ、炒めものや天ぷらに。
- 「あいこ」はそのままだと目がちかチカチカすることがあるらしく、蛇口から出るお湯で、サッと洗ってから調理するといいそうです。
- 山菜の王様、「たらの芽」。天然ものは促成とはまったく味が違います。
- 今日ご紹介した山菜は全部、山形県の農家さんが山に入って採ってきたものです。場所は決して他人には教えないそうです。ぜひ春の味を楽しんでください。
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◇「タマネギ」「山菜」などその他の野菜の写真 |
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■2019年4月21日 第1回 開講式 〜 勉強品目についての補足 杉本晃章氏 |
- タマネギは、引っこ抜いたら畑のあぜに並べて乾かします。天気が続くといい状態なのですが、雨に降られると濡れてダメになってしまいます。
- 中国が淡路のタマネギを持って行って作っていて、市場にはその中国のタマネギがたくさん出ています。一回食べてみてください。元は淡路なのでやわらかくておいしい。
- 北海道のタマネギは、中生種で有名なのが札幌黄、そのあとが岩見沢。最後が北見。北見は晩生で貯蔵性の高いタイプ、一番遅く採れ、春の遅くまで持ちます。北海道のタマネギもタイプや品種が少しずつ違うことを覚えておいてください。
- 南のほうのタマネギは、甲が高い品種が一般的です。
- 淡路の晩生のタマネギは、葉っぱのまま吊るして自然乾燥させた「吊るしタマネギ」です。それを貯蔵しておいて、11〜12月まで出す。北海道より価格は高いですが、甘みがあっておいしいので関西の人は好んで買います。
- 昔は3〜4月まで貯蔵のタマネギがなかったので、代役として葉タマネギが作られました。ホワイト種で、葉っぱも玉も両方食べられるタイプです。30年くらい前から、北海道のタマネギが春まで出回るようになりました。
- キャベツは関西は冬系、関東は春タイプが主流です。冬系キャベツは巻きが強く、水気は少ないですが甘みがあります。愛知県が生産量全国一で、関東より品質がいい。冬キャベツは熱を加えるとおいしいので、お好み焼き、もんじゃ焼きなどに最適です。
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◇「キャベツ」の写真 |
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