Q:夏場、白根が短いネギが多いのはなぜですか?
A:ネギは土寄せして葉鞘部の付け根を埋めると弱り、腐れが出るからです。「龍美(りゅうび)」は腐りに強いので、長い夏ネギが出るようになるかもしれません。
Q:仙台の「曲がりネギ」のような曲がっているネギをお客さまに売るとしたら、どのような説明をすればいいでしょうか。
A:仙台の「曲がりネギ」は意識的に一回溝に寝かせて作っています。掘るとすぐ砂利が出てくるような畑に向いています。曲がりネギにも数種類あり、地ネギの品種は非常においしいので、ご自身で味を確かめてお客さまにすすめるといいでしょう。
Q:千葉の柏で八百屋をしています。地元のネギをヌル付きで販売したいのですが、いい方法はありますか?
A:抗菌作用があって体にいいですよ、と説明して納得してくださるお客さまにはヌル付きでもいいかもしれませんが、なかなかむずかしい問題です。先日参加した研究会でもヌルが話題になり、「今までは無駄なものと思っていたのに、突然健康にいいといわれても発想の転換ができない」と言っている方がいました。また、ヌルが原因で箱がつぶれてしまうので、少ない品種が望まれます。東北地方での夏ネギの出荷の際は、畑でネギを逆さにしてヌルを切ります。調整小屋でもう一回、皮むき後、選別する前、箱に入れる前にもまた切って、ようやく出荷します。ヌルの量は品種によって、また収穫時の水分量によっても変わります。サラサラした液体に近いものから、粘性の強いものまであります。人間の体にいいのであれば、粘着度を上げて葉の外に出ないようにするとか、やり方は考えられます。ただ、箱がつぶれては出荷できませんから、流通形態が変わらなければ、ヌルの多いものを選抜していいのか、育種家としては悩ましいです。
Q:ネギは生長するにつれて枚数が増えるのですか?
A:葉を1枚1枚更新して、内側から増えていきます。更新が終わると下にある新しい葉が出てきます。葉の枚数は決まっていません。ネギは生長点が死なない限り生きていて、暖かさや寒さを感じるのもこの部分です。ある程度の太さになったものに低温が当たると葉の先端がネギ坊主になるのですが、抽苔を遅くしたいときは土を多めにかぶせて生長点を保温します。また、ネギは一年草ではなく多年草です。植え替えて育てれば何年間も出てきます。
Q:おいしいネギの食べ方を教えてください。
A:私は、マグロのブツとネギを出汁で煮て食べる「ねぎま」が好きです。ネギがマグロとよく合うと思います。また、ネギを刻んでおかかとしょうゆで和え、ごはんにのせて食べると、ネギ本来の味が楽しめます。刻んだネギは冷凍保存も可能です。皮をむいた直後から味が落ち始めるので、食べる直前に皮をむくほうがいい。泥ネギを皮がついたままドラム缶で真っ黒になるまで焼くとものすごく甘みが出ます。
Q:冬ネギから春ネギにかわるときに2つくっついたようなネギがありますが…。
A:分けつ、といわれる状態です。昔の固定種は2〜5割発生しましたが、F1になって発生率は下がりました。もともとの遺伝形質に持っていたものが環境や温度の変化によって出てくるのだと思います。よく高温乾燥で出やすいといわれますが、産地の方によるとノンストレスで育ったネギにも出るそうです。
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