■2019年5月19日 第2回 豆類・メロン 〜 勉強品目「豆類」 東京青果(株) 高谷善晴氏
  • 市場にはスイカがたくさん入荷。和歌山、群馬から小梅も入荷しています。和歌山は降水量が前年比の6%で、南高梅はやや心配です。群馬ではひょう害があり前年度の6〜7割かもしれません。新ばすは、明日から販売になります。

  • 私は家庭菜園で豆類を栽培しており、今、スナップ、サヤエンドウがピークで、あと1ヶ月くらいで終わり。ソラマメも採るのが間に合わないくらいです。1日おくと剥いた豆の表面が少しかたくなります。鮮度はほんとうに大切です。サヤも若いうちにどんどん収穫、中2日おくと採り遅れになってしまいます。これからインゲンが出てきます。
東京青果(株) 高谷善晴氏
  • 20年前、10年前の資料と現在を比べると、豆類全体では6〜7割の減少ですが、エダマメは伸びています。水田転作の影響でしょう。

  • キヌサヤとサヤエンドウは、市場ではひとくくりにされていることが多いのですが、全体の数値のうち約2〜3割がキヌサヤではないかと思います。最近はスナップが増えて、キヌサヤが減っています。キヌサヤは鹿児島、福島、愛知が主な産地です。

  • エダマメの取り扱い量は、群馬が一番で、秋田、山形の順。10年前は秋田と山形は同じくらいだったのですが、秋田が山形を抜いて群馬に迫っています。

  • インゲンはほぼ変わらず。1位は福島から沖縄に移りました。

  • 年間平均単価は上がっています。豆で一番高い品目はキヌサヤ、二番目はスナップエンドウ。ソラマメは、作付けは一番減っていますが、単価は若干上がっています。出荷期間が1産地1週間といわれるほど、一斉に採らなければならない、気を遣う作物です。

  • 豆類は天気に左右されやすく、収穫に手間がかかります。予冷も欠かせません。

  • サヤと豆、それぞれのおいしさと栄養があります。豆には五大栄養素、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれています。八百屋さんはぜひ豆のおいしさと栄養バランスのよさを若いお客さんに伝えていただきたいと思います。

  • インゲンは、千葉の東葛と埼玉のいるま野がこれからピークを迎えます。今日お持ちしたのは、千葉・君津平川で品種は「ケンタッキー」です。東日本と西日本では好みが違います。東はつるありでやわらかめのドジョウ系インゲンが好まれ、西はキセラのようなつるなしのスラリとしたタイプが主流です。

  • みかど協和さんから最近出た「びっくりジャンボ」が、九州から東北まで増えています。長くて肉うす(平たい)、やわらかくて調理がしやすいのが特徴で、人気があります。

  • サヤインゲンの7〜8割はドジョウインゲンと呼ばれるもので、2〜3割が平ザヤだと思います。長崎あたりでは「ステイヤー」、「サーベル」といった品種も使っています。

  • 今日のスナップエンドウは、JA福島未来。スナップは調理がしやすいので幅広い年齢層に好まれ、近年需要が伸びています。ゆでてサラダに入れたりバター炒めなど、シャキシャキ感とジューシーな甘さが人気です。

  • キヌサヤエンドウの大ザヤは、関西が多い。オランダザヤはあまり見なくなりました。

  • ピースは皮を剥くと劣化が進み、香りや味が落ちます。サヤつきを新鮮なうちに手早く処理し、剥いてあるものは特に早く食べてください。産地は鹿児島が約70%。和歌山のウスイエンドウもグリーンピースの仲間で、固定ファンがいます。5月4日はウスイエンドウの日で、市場でもイベントが行われました。関東ではグリーンピース、関西では紀州うすいと呼ばれることが多いです。

  • 「マーメラス」は古橋さんという方が開発。段ボールには「スーパーエンドウ」と書いてあり、スナップが細くなった感じなのでエンドウの仲間かと思いましたが、会社の統計ではインゲンに含まれています。インゲンとエンドウは違う属なので不可能な掛け合わせで、奇跡に近い。豆の世界は奥が深い、と思いました。

  • エダマメは、埼玉いるま野、埼玉東武、千葉東葛などから出てきます。冷凍のエダマメは、見た目はよく便利ですが、生鮮に比べると味が落ちます。国内生産量は7万トン、中国、台湾、タイなどからの輸入が6万トン。白毛、茶豆のほか、茶豆風味という中間のもの。茶豆風味は店持ちが課題です。東北は茶豆が主流です。

  • 豆類は作りにくいのですが非常に魅力的な商品です。市場としてもきめ細かい情報提供をしていきますので、今後ともよろしくお願いします。
◇「豆類」の写真
キヌサヤ
(茨城)
川口エンドウ
(八王子)
グリーンピース
(栃木)
グリーンピース
(福岡)
スナップエンドウ
(福島)
ウスイエンドウ
(和歌山)
サヤインゲン
(千葉)
サヤインゲン
(長崎)
黄インゲン
(福岡)
モロッコインゲン
(茨城)
黄モロッコインゲン
(茨城)
マーメラス
(静岡)
ソラマメ
(千葉)
紅ソラマメ
(福岡)
エダマメ
(埼玉)
センゴクマメ
(石川)
ウリズン
(沖縄)
アピオス
(青森)
紫さや大紫
カミナリエンドウ
(長崎)
豆苗
(三和農林)
ウッディナッティ
(村上農園)
ひよこ豆
(アメリカ)
レンズ豆(皮つき)
(アメリカ)
レンズ豆(皮なし)
(アメリカ)
ゆで落花生
(千葉)
殻付き落花生
(千葉)
手亡
(北海道)
赤エンドウ
(北海道)
前川金時
(北海道)
白花豆
(北海道)
 
 
■2019年5月19日 第2回 豆類・メロン 〜 勉強品目の補足 (株)果菜里屋 高橋芳江氏
  • 黄色いモロッコインゲンは緑色のものとは品種が違うそうです。アジアやヨーロッパではポピュラーで、やわらかくておいしいのですが、日本では濃いグリーンのもののほうが好まれるかもしれません。

  • 石川県の伝統野菜「センゴクマメ」は、やや青臭さがあります。

  • 赤い色の「紅ソラマメ」は縁起物としてお祝いに使われたり、逆にこの色を嫌う地域もあります。ゆでるとやや色がぼやけますが、サヤごと焼くと色が落ちません。中は普通のグリーンです。
(株)果菜里屋 高橋芳江氏
  • 「豆苗」は今日は入荷しませんでした。栄養価が高く、価格も安定していて人気です。

  • 「ウリズン」は沖縄で食べられています。

  • 中国人の友達に「中国人は山のように豆を食べる。日本人はどうして食べないの?」と聞かれましたが、若い頃、神田明神のお祭りには、ゆでたソラマメを山のように食べた記憶があります。近ごろはそうした習慣もなくなっているのかもしれません。

  • 「川口エンドウ」は江戸時代から八王子の川口地区に伝わっているサヤエンドウの伝統種です。キヌサヤよりかなり大きく育てます。出まわるのはごく短期間で、10日くらいでなくなってしまいます。

  • 乾燥豆も何種類かお持ちしました。金時豆も手亡豆もみんなインゲンの仲間です。乾燥豆は雑穀として扱われるので、いかに豆を大きくするかが大切で、豆がそれほど肥大しないエンドウよりもインゲンが多いのだと思います。

  • 今日の乾燥豆はほとんどが北海道産です。みつ豆に入っている赤エンドウ豆は、駄菓子屋さんで塩豆を売っていました。白インゲン豆は、ゆでるととてもきれいで、おいしいので、ぜひ使ってみてください。

  • ラッカセイはマメ科の植物です。

  • エジプトやインドでは豆をたくさん食べます。レンズ豆、ひよこ豆などがポピュラーです。レンズ豆には皮つきと、皮つきでないものがあります。

  • カミナリエンドウはツタンカーメンの豆とも呼ばれます。ツタンカーメンのお墓から出てきた豆を栽培したものだそうです。これで豆ごはんを炊いて、半日ほど置いておくとごはんが赤くなります。長崎では昔この豆を使ってお赤飯を炊いたそうです。これは以前、[野菜の学校]で講師をつとめていただいた長崎の田畑耕作先生が送ってくださったタネです。栽培する人が少なくなっているので、作りたい人に分けてほしいとのことでした。ご希望の方はお持ちください。
 

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