Q:突然変異育種の例で「ちば丸」のお話がありましたが、何をどれくらい照射するのですか?
A:「ちば丸」の場合は植物を通り抜けない「軟X線」を1回だけ照射しました。照射後に放射線が残ることはありません。突然変異育種は、昔からある育種の方法です。さといもの場合1900年代後半から行われています。
Q:さといもの生産量は減っていますが、外食や中食ではかなり中国産の冷凍さといもが出回っています。今後、加工や冷凍向けの品種を育成するといった取り組みは行われますか?
A:品種改良はいろいろ行われていますが、品種登録につながる画期的な新品種を作るのはなかなか難しい。国産の冷凍がないのはコスト面からです。千葉県は市場出荷向けが中心ですが、九州では国の研究機関や機械メーカーがタイアップして機械化に取り組んでおり、コストを下げ、業務加工用としても出荷できる取り組みが行われています。
Q:先ほどの資料によると、「えびいも」、「唐いも」、「京いも」は同じものですよね。宮崎の「たけのこいも」も「京いも」と呼ばれていますが、それも同じなのですか?
A:宮崎では、昔、「台湾いも」という名前で日本に導入された「たけのこいも」(品種グループ)を栽培しており、京都の料亭で使われるイメージを狙って「京いも」という名前で販売するようになりました。これとは別に、京都の「えびいも」は伝統野菜のさといもで、「京いも」とも呼んでいます。静岡産の「えびいも」と同じ仲間で、いも柄も食べられます。「えびいも」と「たけのこいも」はまったく別のものです。
Q:食べくらべ用にさといもを蒸したところ、新潟の「帛乙女(きぬおとめ)」に、白く仕上がるものと紫に仕上がるものがあったのですが、原因は?
A:色が変わるものは品質が悪いのではなく、どちらかというと若いものは白く仕上がることが多く、充実しているものは色が変わりやすい。何の物質が原因で、どのような環境だとそうなるのかはわかりません。
Q:今のお話に関して、「若いいも」ってどういうことですか?
A:さといもは同時にいもがついて同じように肥大するわけではありません。親いもができ、そこに子いもができます。子いもも、親いもの下のほうにできるものと上のほうにできるものは時期が違う。さらに、早くできた子いもに孫いもができる。秋になればある程度一様にはなりますが、同じ株の中でも先にできたものと後にできたものでは多少違う、ということです。どちらかというと、同じ株の中でも丸いものは後にできたもので、長めのものは先にできたもののことが多いと思います。
Q:皮をむいたときに緑色になっているものは食べてもいいのですか?
A:緑色になるのは、光に当たったためです。じゃがいもはソラニンという有害物質ができて食中毒を起こすことがあります。さといもにはそれ(ソラニン)はありませんが、えぐみ成分のシュウ酸は外側に多くできている可能性があります。程度によって、気にしないで食べられるときと、取ったほうがいいときがあると思います。
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