■2022年4月17日 第1回 豆・アスパラガス 〜 講演「免疫力を高める野菜の活用術」 日本女子大学非常勤講師 管理栄養士, 料理研究家 松村眞由子氏
◇免疫とは
  • 免疫とは、文字通り、「疫をのがれる」ということです。一回病気にかかると二度と同じ病気にはかからない、それは、免疫がついたからです。

  • 人間の体には、「これは自分の細胞だ」という印があって、その印がないもの(抗原)が体の中に入ってくると、敵異物とみなし排除する、これが免疫のはたらきです。

  • 予防接種も、免疫を作り、感染症にかかりにくくします。今はコロナワクチンの話ばかりですが、みなさんも、小さいころから天然痘などの混合接種を受けているでしょう。
日本女子大学非常勤講師
管理栄養士, 料理研究家
松村眞由子氏
  • 免疫には3つの段階があります。1つめは肌や粘膜で防御する物理的な免疫。何かが皮膚につくと、まずそこで防御します(くしゃみや鼻水も防御のひとつです)。気道から入った病原体などを胃の強酸で攻撃する。この、病原体などの自分でないもの(抗原)が入ってくるとからだが自然に反応する免疫を、2つめの「自然免疫」といいます。さらに自然免疫で撃退できなかったときにはたらくのが3つめの「獲得免疫」で、ワクチンのように外から入れた免疫です。私たちは、この3段階で外からくる敵に対抗しています。

  • 自然免疫は、私たちが生まれたときから持っています。それだけでは勝てなかったときは、獲得免疫、外から入れたもので敵を倒すわけです。自然免疫は反応が早いのですが、獲得免疫ははたらくまでに時間がかかります。コロナワクチンも有効になるには3週間くらいかかる、といわれます。

  • 人間の免疫細胞は白血球の中に多く、自然免疫の中で主にはたらくのが、マクロファージ、顆粒球、NK(ナチュラルキラー)細胞の3つです。

  • マクロファージは免疫システムの司令塔といわれ、抗原を見つけると、「敵が来たぞ!」と知らせると同時に食べ始めます。敵襲来の知らせではたらき始めるのが顆粒球で、抗原を飲み込み、処理します。NK細胞は、体内を巡回しながら抗原を攻撃します。この3つが私たちの体内の「自然免疫」として抗原に対抗してくれます。

  • 自然免疫では太刀打ちできない、さらに強い敵に対抗するのが、「獲得免疫」。主にはたらくのはT細胞、B細胞です。マクロファージの一部が伝令を出して、ヘルパーT細胞に連絡、活性化するとともにをキラーT細胞、B細胞をはたらかせて、敵を攻撃し治癒していくわけです。

  • まとめると、@自然免疫がすぐ反応 A自然免疫だけで撃退できない強い病原体の場合は、獲得免疫に伝令が走る B獲得免疫のヘルパーT細胞が活性化し、キラーT細胞やB細胞の反応が誘導される CT細胞の攻撃とB細胞が産生する抗体の作用で病原体が体から排除される D治癒、ということになります。

  • 「免疫力が高い」とはどういうことかというと、感染症にかかりにくくなる、その上重症化のリスクを抑えて、治りやすくなります。免疫をつけるには、体内の自然免疫を高めるか、ワクチンを打って外から免疫を獲得する。自力で効果をあげるなら、自然免疫を強くするしかありません。ただし、自然免疫は不安定で環境によって活性が変化するため、自分の体をよい状況にしておく必要があります。

  • 免疫力には、マクロファージの活性も重要です。マクロ=大きい、ファージ=食べるという意味で、病原菌、死んだ細胞、がん細胞などを食べて処理してくれます。さらにマクロファージの持つ重要な役割は、血液内の過剰な栄養分を処理することです。お腹いっぱい食べると幸せな気分になりますが、血液内に残っている消化しきれない栄養分を処理していると、マクロファージは敵が来たときに戦えません。ですから腹八分目、ほどほどにして、マクロファージをいつでもはたらける状態にしておくことがとても重要です。また、マクロファージは加齢やストレスで落ちやすいといわれています。

  • マクロファージがいつでも素早く反応するためには、LPS(リポポリサッカライド)やビタミンDを摂るといいといわれています。LPSは、土壌の中にいるグラム陰性菌の外側についているもので、マクロファージのエサになるとされ、よい状態の土の中で育った野菜や、皮つきのれんこん、玄米などに含まれるといいます。海にもいるので、海藻を摂るといいでしょう。ビタミンDは、干ししいたけなどの日に当たったものやシラスなどに含まれています。太陽に当たることで自分の体内で作ることもできます。

  • NK細胞は、病院に行くと活性が調べられます。NK細胞が敵を4時間でどれくらい殺せるかという数値があり、500以上が正常値です。低下しているとウイルスに感染しやすくなったり、長引いたり、重篤な症状になることが多い。がん細胞も食べてくれるので、まだかなり高額ですが、がんの治療にも応用されているようです。
◇免疫力をあげるには
  • 免疫力に影響するのは、食生活に加えて生活習慣。早寝早起が大切なので、八百屋さんはばっちりです。NK活性がアップするのは朝5〜6時くらいからで、朝9時と夕方5時くらいにピークを迎え、夜中には下がります。ですから、夜は寝るのが一番です。仕事がお休みの日も、だらだら寝ているよりは、いつものように早起きをして、遊んで早く寝るとか、生活リズムを乱さないほうがいいと思います。

  • 運動も活性を上げます。みなさんが市場で重い荷物を持つのも運動になります。ただ、負荷が大きすぎると、終わった後に活性が急激に下がって回復には4倍時間がかかるとされ、この間に病気になりやすい。話しながらできるくらいの軽い運動、心拍数が70〜100くらいだとしたら、100前後の気持ちいいと感じられる程度の運動を継続すると、免疫力が上がるといわれています。

  • ストレスはためないほうがいいですね。孤独、過密な環境、緊張、不安、悲しみなど、ストレスが大きくなると活性は下がります。ただ、いつもとは違う勉強をするとか適度なストレスはいい。充実した仕事に喜びを感じるとストレス発散になり、活性も上がります。楽しく音楽を聴いたり、映画を見たり、リラックスすることも、活性を高めます。

  • 「笑い」もいい。お腹を抱えて笑うと腹筋が動いて血流がよくなるので、NK活性が上がるといわれています。仲間と会話して、大笑いするのはいいことです。

  • 季節も関係します。冬と夏、寒すぎたり暑すぎたりすると、NK細胞も動きが悪くなります。また、季節の変わり目は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れやすく、活性も下がり、あらゆる病気になりやすいといわれます。

  • 交感神経と副交感神経はアクセルとブレーキのようなものです。試合で戦うときなど攻撃的なときに優位になるのが交感神経。リラックスしているときは副交感神経が優位になります。交感神経が活動するときはNK細胞の数も増えます。リラックスするのはいいことですが、細胞自体はそれほど増えるわけではありません。

  • 日内変動というのは、朝から昼にかけて活性が高くなり、夕方から低下して夜は低くなるということ。午前中から昼にかけては活力が出ます。

  • 体温を上げると血流がよくなり、白血球が体の隅々に行き渡るので、免疫力が高くなります。体温を上げるには、筋肉をつけることも必要です。筋肉で熱が作られるからです。消化吸収や新陳代謝に役立つジアスターゼなどの酵素は37℃前後で活性が高まるため、この温度に近い体温が望ましく、体温が1℃低くなると、免疫力が30%低下するといわれています。

  • 人間の筋肉は、おしりと太ももで50%あるとされます。下半身だけで70%。細い人は体温が上がりにくいので、スクワットのように下半身の筋肉をつける運動をするといいでしょう。人間の体は慣れてしまうので、ときどきいつもと違う、適度なストレスを与えることも大事です。みなさんも体温を測って、低ければ、筋肉をつけてください。35.5℃の人が36.5℃になれば、さらにパワーアップします。
◇免疫力をあげる食事
  • 免疫力をあげるには免疫細胞を増やさなければなりません。また、免疫細胞は腸の中に多くあるので、腸内環境をよくして、細胞を活性化できるような状態にすることが大事です。

  • 細胞の主要成分はたんぱく質で、合成するためにはミネラルやビタミンが必要です。コレステロールも細胞膜の原料になるので、質のよいコレステロールを適切に摂る必要があります。

  • ビタミンは体の潤滑油ともいわれ、ビタミンB系、特にビタミンB6、B12は、たんぱく質を代謝するために必要です。B6は玄米、野菜類、豆類などに多く含まれています。

  • 細胞を強くするために必要なのが、ポリフェノール、ビタミンACE(エース)、ミネラル類、N-3系多価不飽和脂肪酸など。活性酸素のはたらきを抑えて、白血球の数を増やし、活性化させ、粘膜を丈夫にして、ウイルスや病原菌の侵入を防ぎます。

  • ポリフェノールとは、たとえばゴボウのアク、紫色の野菜の外側の部分、お茶のカテキンなど、一般にアクといわれているものです。抗酸化作用が強く、動脈硬化や生活習慣病を予防し、免疫細胞を守るはたらきもあります。八百屋さんが扱うものでは、なす、ブルーベリー、豆類、しょうがなど。ポリフェノールは、赤ワインやコーヒーにも多く含まれています。

  • 免疫力をアップするビタミンACEは、抗酸化トリオとも呼ばれています。老化を防いでくれる効果もあり、特に色の濃い野菜に多く含まれています。

  • ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保つことで病原菌の侵入を防ぎ、免疫力をアップ、目の機能を保つはたらきもあります。油との相性がよい脂溶性ビタミンで、たとえばにんじんを炒めたあと油がオレンジ色になるのは脂溶性だからです。油で調理をすると、生より2.7倍多くなるというデータがあります。

  • ビタミンCはコラーゲンの生成に必要で、鉄の吸収を助けるほか、ストレスを緩和します。水溶性なので水でさらす時間は短く、熱に弱いので加熱よりも生で。旬の新鮮なものを食べることが大事です。

  • ビタミンEは老化防止のビタミン。生活習慣病予防、血流改善、生殖機能維持といったはたらきがあるとされます。脂溶性ビタミンなので、油を使う調理がおすすめです。ビタミンEの含有量は少しなので、いろいろな食品をまんべんなく摂ることが大事です。

  • 「日本食品成分表」が2020年に改訂され、8訂になりました。栄養計算は、以前は生で計算しましたが、ゆでた状態の成分値が載っていれば、それで計算します。たとえば、モロヘイヤの場合、β-カロテンは、ゆでは6600、生は10000マイクログラムです。ゆでないと食べられないものは、食べる状態、体に入る数値でないと現実にそぐわない、そういう視点が必要になっています。

  • β-カロテンは、必要に応じてビタミンAに変わり、体の中ではたらきます。にんじん100グラム中8600マイクログラム、モロヘイヤは6600マイクログラム。1日に必要な量は700〜900マイクログラムですから、にんじん10グラムくらい。モロヘイヤ14グラム、ゆでることを考えると1/4袋くらい食べれば1日に必要なβ-カロテンが摂れる計算になります。ホウレンソウも17グラムくらい。1束200グラム、ゆでても90%くらいにしか減らないので、意外と少量でOKです。

  • 食品成分表でビタミンCが多いのはトマピーですが、こうしたほとんど売っていないものも載っていたりします。ビタミンCはパプリカやブロッコリーにも多く含まれていますが、一度に食べられる量はそれほど多くないので、果物などから摂ることも大事です。

  • ビタミンACEがバランスよく入っているのは、赤パプリカ、かぼちゃですが、それだけを食べていればいい、ということではありません。

  • しそ100グラムには11000マイクログラムのβ-カロテン当量が含まれるので、実際に食べるしその量はごくわずかですが、1グラムでも110マイクログラム摂れます。また、唐辛子(生)もβカロテンは7700マイクログラムで、しかもACEが全部入っています。でも、食べるのは何グラムと計れないくらいの量です。食べる量のことも考えつつ、お客さまにお話をして販売していただくといいと思います。
◇腸内環境を整える
  • 免疫細胞の60〜70%が腸壁にあり、腸内環境を整えることが免疫力を高めることにつながります。口から食べたものが胃を通って入ってくるのが腸。そこに敵を見つけて戦う免疫細胞があるわけです。

  • 腸内環境をよくするには、プロバイオティクスとプレバイオティクスが必要です。プロバイオティクスとは腸内に入れる菌そのもの、たとえば乳酸菌で、ヨーグルト、チーズ、乳酸菌飲料などの発酵食品に多く含まれます。腸内に存在する時間は限られており、増えませんから、毎日摂る必要があります。強酸の胃を通り、胃酸によって死んでしまったものでも善玉菌のエサにはなるので摂ったほうがいい、といわれています。

  • プレバイオティクスとは、「先立って」ということです。プロバイオティクスを増やすためのプレバイオティクスとおぼえてください。オリゴ糖や食物繊維など、消化されずに大腸まで届いて、乳酸菌などのプロバイオティクスのエサになり、増殖に役立ちます。オリゴ糖は、玉ねぎ、キャベツ、ごぼう、バナナ、大豆などに含まれています。食物繊維には水溶性と不溶性があり、どちらも有益です。果物、野菜、海藻類はだいたい役に立つ、と考えてよいでしょう。

  • 腸の調子がよくわからないとき、目安のひとつになるのが、便です。前日に食べたもので状態がまったく違います。理想的なのは黄色か褐色でバナナのような形。においがきつくなく、練り歯磨きくらいのやわらかさがいいとされます。出した後はチェックして、自分の腸内環境を確かめてください。
◇バランスよく食べる
  • 体を冷やすものを「陰」、温めるものを「陽」ととらえるのは、漢方の考え方です。

  • 寒い冬に採れるもの、土の中で採れるもの、かたいものや黒っぽいものは、体を温める「陽」。夏に採れるもの、暑いところで採れるもの、地面の上で採れるもの、やわらかいもの、すっぱいものは、体を冷やす「陰」とされます。「陽」の食品は体温を上げます。「陰」の食品は、加熱する、塩をする、発酵させる、「陽」のものといっしょに摂る、香味野菜を加える、などで中性になり、食べやすくなります。

  • 私たちにはすべての栄養素が必要で、バランスのよい食事が免疫力アップの基本です。多くの食材を食べて免疫力をあげる、ということを頭に置きながら、いろいろなものを食べることが大事です。

  • 野菜は、潤滑油と呼ばれるビタミンやミネラルの供給源になります。サプリメントは過剰になる心配がありますから、ぜひ野菜から摂ってください。
◇野菜を上手に摂るコツ
  • 野菜は、買ってきたらまず洗って、何かしら手を加えないと食べられません。肉はパックから出して焼けばいい。手間をいかに少なくするかが野菜の消費につながるのではないでしょうか。

  • 私はある程度まとめて野菜を買い、すぐに洗います。それはダメ、という方もいらっしゃるかもしれませんが、いつでも使える状態にしておくと便利です。

  • 野菜室に入りきらない分は、ゆでる、味をつけるなど、下処理をして冷蔵庫に入れます。加熱するとかさが減るので、冷蔵庫の中も使いやすくなります。

  • 生食には限界があるので、加熱して摂っていただきたい。色の濃い野菜には脂溶性ビタミンが多く含まれているので、油といっしょに摂ります。炒めるほか、ドレッシングをかけたり、肉といっしょに食べましょう。「肉の倍の野菜」を目安にすると、不足なく食べられるはずです。

  • 洗った野菜は、水けをよくきって、野菜保存用の袋に、キッチンペーパーを1枚はさんで保存します。元の状態に近いよう、できるだけ立てた状態で保存しましょう。

  • 使いきれずに残った野菜は、わが家で「切りかけボックス」と呼んでいる大きめのタッパーに入れて冷蔵室に保存します。切ったものは、野菜室より温度が低い冷蔵室へ入れてください。切りかけボックスを作ってから、冷蔵庫の奥からしょうがやにんにくのかけら、切った玉ねぎなどが出てこなくなりました。また、浅漬けもおすすめです。塩をしてポリ袋に入れておくと、いつでも野菜がたくさん摂れます。

  • 1日に摂りたい野菜の量は350グラム。生だと両手に3杯分くらい、ゆでれば半分くらいになります。テレビCMで「こんなに野菜摂れない!」などと言っていますが、キュウリ1本とトマト1個で300グラム。全部レタスで摂ろうとしないで、重量のあるもので摂ればいいでしょう。

  • 栄養的には皮ごと食べたほうがいいといわれますが、家庭で食べるとか、最終的に濃い色に仕上げるなら皮ごと。人に出したいとか、野菜の色をいかしたいときは皮をむいて。切り方も、加熱の仕方も、目的によって変えればいいと思います。

  • 電子レンジは素材が持っている水分をマイクロ波で加熱するので、どこに水分があるかでムラが出ます。ブロッコリー全体が均一にやわらかくならなかった、という経験をした方もいると思います。電子レンジ調理のメリットは時間が短いこと(ともいいきれませんが、量が少なければ時間は短い)、栄養素が逃げにくいこと。デメリットは加熱ムラができやすいこと、アクがぬけないこと、また大量調理には向きません。
◇テーマ野菜「豆・アスパラガス」について
  • 豆類は乾物と野菜として食べるものにわかれています。豆類の若ざやは野菜に分類されます。多くは、マメ科エンドウ属です。

  • スナップえんどうの「スナップ」は、「ポキッと折れる」という意味です。1970年に登場したときは、こんなものがあるんだ、と驚きました。甘みがありパリッとした食感です。砂糖えんどうはきぬさやとスナップえんどうの中間の食感といわれていますので、のちほど食べくらべで確認してみてください。

  • グリンピース、うすいえんどうは実を食べます。グリンピースごはんは、昔、子どもの嫌いなメニューの代表格のようにいわれましたが、おいしいですね。グリンピースを改良したのが、うすいえんどう。「うすい」は関西の地名です。

  • 総務庁の家計調査の中に、さや豆の消費の動向がありました。さや豆には、きぬさやのほかいろいろな豆が含まれ、購入量はどんどん減っているのに、金額は上がっています。特に、きぬさやは料理に緑を添えるために使いたいのですが、学生にも「価格が高すぎて買えません」とよく言われます。

  • 食品成分表によると、さやえんどうの若ざやのゆでには、水溶性で熱に弱いビタミンCが意外に残っていました。スナップのゆでの成分値は載っていませんが、残存率は高いのではないでしょうか。

  • 豆にはグルタミン酸が多いので、豆ごはんはうまみを感じます。リジンというお米に足りない必須アミノ酸も含まれており、豆とごはんをいっしょに食べると、たんぱく質を摂りやすくなります。

  • アスパラガスには、葉酸、β-カロテンが多く、疲労回復やスタミナ増強に効果があるといわれるアスパラギン酸も豊富です。ホワイトアスパラガスについては、缶詰の成分値はありますが、生は食品成分表には載っていません。

  • アスパラガスの原産地は南ヨーロッパからウクライナにかけて。日本には江戸時代に伝わったとされています。私が子どもの頃は、アスパラといえば、缶詰のホワイトアスパラガスしかありませんでした。ホテルで朝食を食べたとき、サラダに缶詰のホワイトアスパラガスがのっていて、サウザンアイランドドレッシングがかかっていたのを、今でも覚えています。

  • 5月頃ドイツに行くと、街中に売店が出てホワイトアスパラガスが山のように積まれています。アスパラ祭りや皮の早剥き大会などもあり、日本のタケノコのように春の訪れを感じる食べ物です。卵黄に溶かしバターを入れたオランデーズソースで食べるのが定番で、専用の皮むき器も売っていました。

  • 和名は「きじかくし」、葉っぱは細かくてふわふわしており、フラワーアレンジにも使われます。

  • パープルアスパラはゆでると緑色になります。

  • 一般には、ビタミンAが600マイクログラム以上のものが緑黄色野菜とされているのですが、アスパラガス、いんげんなど、食べる量が多いものについては600マイクログラム以下でも緑黄色野菜の仲間に分類されています。
◇八百屋さんに望むこと
  • 私が一消費者として思うのは、適正な価格で適量を買えるとありがたい、ということ。オーストラリアや台湾に行ったとき、多くのお店で量り売りをしてくれました。日本でもできるようになればいいと、つねづね思っています。

  • 新しい野菜は、食べてみたくてもどうやって食べればいいかわからないので、八百屋さんには食べ方を教えてほしいです。ポップなどにレシピを書いていただけるとありがたいです。今はみんなスマホで写真を撮って帰りますから、たくさん刷って配る必要はないと思います。
◇質疑応答より

    Q:質問の前にひとつ要望があります。世の中がコロナ禍になって獲得免疫の話しか出てこないので、先生にはぜひ、自然免疫についてもっと多く情報発信をしていただきたいと思っています。質問はポリフェノールについてなのですが、野菜ジュースでも普通に摂れるものなのでしょうか?
    A:野菜ジュースについては、半分、と考えています。たとえばトマト3つ分と書いてあったら、その半分くらいだと思ってください。

    Q:野菜にはハウス栽培、露地栽培、時期、未熟、過熟といろいろあるはずなのですが、成分表の数値は何を基準にしているのですか?
    A:成分表の数値はそうしたことも加味して数値化されているようですが、あくまでも目安です。食事摂取基準も目安ですから、必ず数値をクリアしなければならないということではなく、自分の体に合わせて考えたほうがいい。目安なのに栄養計算方法が細かすぎるのではないか、と私たち管理栄養士も思っています。

    Q:今から15年ほど前、ホウレンソウは露地ではなくハウスがメインになり、成分表の数値が変わりました。おいしさももちろんですが、栄養面からも、旬の野菜を食べることが最も大事ですよね?
    A:まさに、その土地でその時期に採れたものが一番いいと思います。しかも、採れたてを食べる幸せってありますよね。本来今の時期には採れないはずの野菜を無理やり作ったところでおいしいわけがない。私たちはそれにもっと気がつかなければいけないと思います。学生には、今、旬のものをたくさん使った料理を提案しましょう、と伝えています。八百屋さんはそれだけではやっていけないのかもしれませんが、お客さまに、今は一番これがおいしい、というのを伝えてほしい。たとえば春キャベツは生のままかじるだけでもおいしい。そういうことをきちんと伝えていかないと、味覚がおかしな若者を育てることになってしまう、と危惧しています。

    Q:自然免疫に興味があります。LPSについてもう一度教えてください。
    A:土壌などに含まれているグラム陰性細菌の外側についている物質がLPSだといわれています。

 

【八百屋塾2022 第1回】 挨拶講演「免疫力を高める野菜の活用術」勉強品目「豆」「アスパラガス」食べくらべ