■2022年8月21日 第5回 かぼちゃ 〜 調理実習「かぼちゃ料理」 本田明子氏

◇かぼちゃ料理の調理実習

 [本田明子氏より]

  • 今日は、北海道の「みやこかぼちゃ」を使い、煮もの2種、ポタージュ、ジャムを作ります。

  • 煮ものは、濃口醤油を使った昔ながらのおばあちゃんが作ったような甘辛い「田舎煮」と、西日本に多い薄口醤油を使った「京煮」。どちらも他の具材は加えず、シンプルにかぼちゃのみで作ります。

  • 煮ものはまず、スプーンで種とワタを取り、2〜3センチ角に切ります。大きさはお好みで。今日の「みやこ」は吸い上げがよく、味がよくしみこむので大きめにしました。ところどころ皮を落としますが、切れない包丁ではあぶないので、必ず切れる包丁を使ってください。ポイントは、かぼちゃが泳がないように、皮を下にしてきっちり並べること。そうすれば煮崩れません。かぼちゃを重ねてはいけません。
本田明子氏
  • 「京煮」はゆっくりと味を含ませていくので水の量はかぶるくらい。「田舎煮」はひたひた、少しかぼちゃの頭が出るくらいにしてください。

  • 「京煮」は日本かぼちゃで作りたいのですが、今日はどちらも「みやこ」を使っています。消費者は、売られているかぼちゃがしっとり系なのかホクホク系なのかを知りたい、と思っています。

  • 「田舎煮」は最初は強火で、沸騰したら中火に。本来は10分前後ですが、今日のかぼちゃはとても火の入りが早いので5〜6分でOKでした。「京煮」は最初は中火で、沸騰してきたら弱火にしてふたをします。20分くらいかけて煮たいのですが、こちらも7〜8分で火が入りました。おそらく、そういう品種なのだと思います。沸騰するまでふたをしないのは、私の場合は忘れてしまうからです。見た目で、弱火にするタイミングに気がつくようにしたいだけです。忘れない方は最初からふたをしてください。

  • 東日本では「田舎煮」、西日本では「京煮」がおなじみです。どちらもおいしいと思います。

  • 煮ものは、「煮含める」というように、火を止めて終わりではなく、一回冷めるまでおくことで味がしみこむ、そこまでが料理です。これは煮もの料理全般にいえることなので、ぜひ覚えておいてください。
調理に使用した「みやこ」

京煮(左)田舎煮(右)

田舎煮(左) と京煮(右)
  • かぼちゃに竹串を刺してみてすっと通ったら、火を止めてからふたをします。そうすると80〜90℃くらいなので、それ以上火は入らず味がしみ込んでいきます。竹串を刺したとき、「もう少しかしら?」「あと1分くらいかな?」と思ったら、ふたをしてから火を止めます。そうすると中が100℃なので、余熱で火が入ります。あと1分煮てしまうと煮崩れます。1時間半くらいおくとしっかり味がしみこみます。

  • 男性はかぼちゃの煮ものが苦手という人が多いのですが、何と食べあわせるかが大切で、サバの塩焼きやトンテキなどとあわせると絶対においしいです。

  • 「田舎煮」の仕上がりの色は、醤油の種類によります。今日の醤油は国産大豆を使用し、2年おいたものなので、これを使うとガツンと醤油の色がつきます。大手メーカーの一般的な醤油だともう少し薄く仕上がります。色と塩分濃度とは関係ありません。薄口のほうが塩分は強いはずです。
  • 「ポタージュ」の場合、かぼちゃの皮は全部むきます。緑色のポタージュでよければ皮があってもOKです。ただ、「かぼちゃのポタージュ=黄色」と思っている人が多く、色が違うだけで食べたくないといわれる場合もあります。料理は見た目も大事です。きれいな黄色にするなら全部むいてください。ポタージュは煮崩れてもいいので、きちんと並べる必要はありません。ゆでたらマッシャーでつぶします。今日はこのかぼちゃペーストの半分でポタージュ、もう半分でジャムを作ります。かぼちゃの消費拡大の話がありましたが、1玉買ったら、煮ものにした残りを全部マッシュにしてから冷凍するのがおすすめです。

  • お湯にスープの素を入れて溶かし、ミキサーに入れます。かぼちゃペースト、牛乳、塩を入れてスイッチを入れます。それを温めて生クリームを加えます。塩加減がいいかどうか味見をして、あればパセリのみじん切りやクルトンをのせてできあがりです。山奥など、地域によっては生クリームが簡単に手に入らないこともあるそうなので、その場合は全部牛乳にして最後にバターを加えます。

  • かぼちゃを若い子に食べてもらいたいので、ジャムにしました。かぼちゃの煮ものは年齢を重ねると好きになるので心配はいらないのですが、ジャムにして若い子たちのイメージをよくしたいと考えました。

  • 1つめは、かぼちゃペーストにはちみつ、お好みで砂糖を加えます。くるみ、いちじく、プルーン、レーズンなどをお好みで加え、バゲットに塗ります。煮ものが嫌いな子でもこれなら絶対に食べてくれます。

  • 2つめのジャムは、日持ちがいいように、はちみつとバターを入れて火にかけたものです。黒いパンにこのジャムを塗って、カマンベールチーズとプルーンをのせれば、ワインのおつまみに最高です。
かぼちゃをマッシュ

かぼちゃのポタージュ

かぼちゃのジャム

マッシュとチーズ・ナッツ・プルーン
  • 最後にお料理トリビアをひとつ。エプロンは、大勢で調理をするときはひもを前で結ぶのが料理の基本です。鍋の柄などにひもを引っ掛けたりしてヤケドをする危険があるためです。シェフは何人ものスタッフといっしょに料理をするので、必ず前で結んでいます。家で一人で料理をするときは後ろで結んでもいい。これはお料理の際の身だしなみの基本として覚えておいてください。