■2022年5月22日 第2回 トマト 〜 勉強品目「トマト」 東京青果(株)  長掛雄治氏
  • 最近はミニトマトが増加しています。2011年、大玉トマトのシェアが63.1%、ミニトマト25.2%でしたが、去年は大玉46.8%、ミニ39.4%になっています。ミニは手軽で、比較的味もよく、甘みがある、というのが大きいのではないでしょうか。

  • 大玉トマトの産地がミニトマトや他の品目に変わっている傾向があります。ただ、大玉トマトが必要不可欠な用途があるのでなくなってしまうわけではありません。
東京青果(株)  長掛雄治氏
  • 生産者サイドからは、病気に強く、赤くてかたく、たくさん採れるトマトが求められています。消費者サイドは、大きさ、色、糖度、味に特徴があるなど、さまざまな要望が広がっている、と感じます。業務用では、赤と緑のバランスがいいもの、まんべんなく赤く色が着くもの、店持ちのいいものなど。全体的に、最近のトマトは、品種改良により、かたくなっています。

  • このところの原油代の高騰、肥料の値上げなど生産コストはかなり上昇しています。環境制御型のハウスで栽培コストを削減したりメディアに生産現場の現状をアピールしていかなくてはならないと感じています。

  • 今日お持ちしたトマトについてご説明します。まずは大玉。JAうつのみやのトマトは、タキイ種苗の桃太郎シリーズです。ネクスト、ホープ、はるかの3品種のうちのどれかだと思います。

  • JAちば東葛岡田は、無加温の春トマト。桃太郎ファイトとネクストです。4〜7月に出る、自然に近いトマトです。

  • 愛知県のJAひまわりは、桃太郎ヨーク。通常はりんかと2品種あります。ほとんどは桃太郎ヨークです。ここは作り方がきれいで着色がよく、形も整っており、評価の高いトマトです。長い時期同じ品質のものが出荷されます。

  • 熊本県のJAたまなは、サカタ種苗の麗容という品種です。比較的熟しても皮が硬い品種です。後継品種の研究も進んでいると聞いています。

  • 続いてミニトマトです。吉澤さんのミニトマトの品種は小鈴。立川で養液土耕のような感じで作っています。糖度が高いのですが、時期によってばらつきは出ます。

  • JAたまな、タキイの千果。出てから20年くらい経ちますが、割れないし、甘くて色目もいい品種です。ただ、これでも割れる心配はあるので、次の品種が出るかどうか、という状況だと聞いています。

  • 愛知県JA豊橋の高糖度のミニトマトは小鈴のしぼり栽培。しぼり栽培とそうでないものでは味がかなり変わってきます。

  • 北海道JAながぬまのフルーツトマトは、桃太郎ファイトのしぼりです。北海道は来週あたりから入り始めます。青森などと比べると早くてロングです。作型を変えて、長い期間出荷できるようにしています。

  • アメーラは、桃太郎ヨークを使っていることが多いと思います。5〜6つの生産法人が作っています。これは静岡ですが、長野の軽井沢にも産地があります。かなりこだわった養液栽培をしています。

  • 優糖星(ゆうとうせい)、赤糖房(あかとんぼ)はキャロル7です。やわらかくて店持ちがあまりよくなく、作りづらい品種ですが、味は抜群です。

  • 今の時期はトマトを選ぶのが大変かもしれません。産地によって色が濃かったり薄かったりするので、着色や、来たときの状態を見ながら、用途に合わせていただきたいと思います。北海道から九州まで、日本全国のすべての産地のトマトが入る貴重な時期なので、ぜひ市場でいろいろご覧ください。
◇質疑応答より

    Q:いろいろな形の段ボールが出てきて、扱いにくくなっているのですが、今後どうなりますか?段ボールがつぶれていることも多く、納めとしては非常に困っています。
    A:産地の機械に合わせたものになっているのと、省力化や資源の関係などがあるのだと思います。もし、変えてほしいことがあれば言っていただければ、産地に伝えます。

    Q:最近はミディトマトが多いのですか?
    A:なんとも言えません。ミディはミディで需要がありますが、もの足りないという方もいます。フルーツトマトは皮がかたいからミディのほうがいい、という方もいますし、用途に応じて各種取り揃えていただきたい、と思います。

◇「トマト」の写真
桃太郎(栃木)
桃太郎(千葉)
桃太郎ヨーク(愛知)
麗容(熊本)
アメーラ(静岡)
アメーラルビンズ(長野)
北の極み(北海道)
奏(東京)
美(愛知)
千果(熊本)
優糖星(和歌山)
オスミックトマト(三重)
タキイ中玉・赤
タキイ中玉・ピンク
タキイ中玉・オレンジ
タキイなつめ形
 

【八百屋塾2022 第2回】 挨拶講演「トマトの機能性表示食品」勉強品目「トマト」食べくらべ