■2022年9月11日 第6回 たまねぎ 〜 商品紹介「YOUR ONIONS」「スマイルボール」について ハウス食品グループ本社(株) アグリビジネス推進部 青果VC推進課 脇本友紀子氏

◇ハウス食品のたまねぎ普及活動「YOUR ONIONS」、ハウス食品が開発したたまねぎ「スマイルボール」について

 [ハウス食品グループ本社(株) アグリビジネス推進部 青果VC推進課 脇本友紀子氏より]

  • ハウス食品では、「YOUR ONIONS」という名前で、たまねぎの普及活動をしています。

  • たまねぎを食べるシーンは、サラダで食べるとか、甘くコクの出るあめ色たまねぎでカレーをおいしくしたいとか、野菜炒めにして食感を楽しみたいなど、さまざまです。カレーでも、たまねぎの食感が残っているのが好きな方も、溶け込んでいるほうが好きという方もいます。そこで、食べ方に合わせた自分好みのたまねぎを選べるようにしたい、と考えました。スーパーさんといっしょに、お客さまが食べ方や好みに合わせて選べる売り場づくりを展開し、たまねぎの普及活動を推進しています。
ハウス食品グループ本社(株)
アグリビジネス推進部 青果VC推進課
脇本友紀子氏
  • たとえば、トマト、じゃがいも、さつまいもなどは、現在、品種や用途で選んでいるのではないでしょうか。ねっとり系の焼き芋とか、ホクホク系のじゃがいもとか…。たまねぎは売り場にどんと積まれ、違いは、赤たまねぎ、新たまねぎぐらいです。煮込み用にはこれ、焼き用、生用、彩り追加用と、お客さまが選びやすい提案をしていけたら、と思っています。
  • ハウス食品が開発したたまねぎ「スマイルボール」は、生で食べておいしいのが最大の特徴です。

  • 「さらさらレッド」は、彩りがきれいな赤いたまねぎ。ケルセチンというポリフェノールの一種、血液サラサラで知られている成分がふつうのたまねぎより多く含まれています。

  • 「札幌黄」は、加熱すると甘くなります。また、繊維がしっかりしているので、煮崩れしにくく、食感を楽しむ煮込み料理におすすめです。

  • 「蜜玉」は、淡路島の2525(ニコニコ)ファームが作っているブランドたまねぎ。加熱するとトロッとした食感になり、名前の通り、甘みがすごく強くなります。

  • 今年から取り扱いを始めた「メロンたまねぎ」は、京丹後で作られています。しっかりとした甘みで、スライスしたサラダがすごく甘くて、生で食べておいしいたまねぎです。

  • 「雪景色」は、8〜9月に北海道産から出る、新たまねぎのような白たまねぎです。みずみずしくて、スライスして生で食べると甘みが感じられます。生でも加熱してもおいしいたまねぎです。

  • 春にサラダや炒めには「蜜玉」、今の時期のサラダや焼きは「雪景色」と、「味わいチャートカレンダー」を作り、差別化でき付加価値のある品種が、全部並ぶような売り場づくりを目指しています。パッケージも、一目で「YOUR ONIONS」とわかるように、工夫しています。
スマイルボール

蜜玉

メロンタマネギ


雪景色
  • ハウス食品のたまねぎの起点は「スマイルボール」です。1990年代に始まったレトルトカレーの研究開発・生産でのこと。1回に何百キロという大きな釜で作りますが、たまねぎとにんにくをいっしょに焙煎すると、時々あめ色ではなく緑色のペーストになってしまうことがありました。なぜ緑色になるのか、というところから、たまねぎとにんにく、それぞれの研究が始まりました。

  • 生のたまねぎとにんにくを混ぜて加熱すると緑になること、あわせて他の研究で、たまねぎが辛くなる仕組みは通説と違うのではないかということから、2002年、催涙因子合成酵素を発見しました。それは、ネイチャー誌に載るほどのビックニュースでした。

  • 2005年、北海道の植物育種研究所と協働で、涙の出ない、辛みのないたまねぎの開発に着手します。苦節7年、2012年に涙の出ない、辛みのないたまねぎができました。毎年、千葉の研究所に送られてくる北海道のたまねぎを、半分に切って目に当てて辛くないものを探すなど、研究はとても大変だったと聞いています。

  • 2013年にはイグノーベル化学賞を受賞。2015年からテスト販売を開始し、例年は秋ごろより販売しております。

  • 「スマイルボール」とふつうのたまねぎとの違いは、辛みがほとんどなく、甘く感じられるという点です。ふつうのたまねぎから辛みが発生する仕組みが止まっている、とお考えください。ケルセチンはふつうのたまねぎと同じくらい含まれており、水さらしをしないで食べられるので、まるごと栄養が取れます。

  • たまねぎは、包丁で切ったり、歯で噛んだりすると、細胞壁が壊れてアミノ酸同士がくっつき、化学反応が起きて辛み成分が発生します。「スマイルボール」はこの仕組みがはたらかないので辛くない、というわけです。ただし、ふつうのたまねぎと「スマイルボール」をいっしょに食べたり、ふつうのたまねぎを切った包丁で「スマイルボール」を切ると、辛くなることがあるので、注意が必要です。

  • 辛みの指標となる成分、ピルビン酸の数値も、「スマイルボール」は、北海道や淡路、佐賀、静岡などのたまねぎと比較して少ないことがわかっています。

  • 「スマイルボール」は辛みがないので、いろいろな食べ方ができます。ダイス状に切ってサクサクした食感を楽しんだり、厚切りでそのまま食べたり、丸かじりしても辛くありません。たまねぎおろしやスムージーにも使えます。切ったらそのまま食べられるので、簡単、便利、時短という切り口でもアピールしています。また、春先には新たまねぎ、初夏にはサラダたまねぎなどがありますが、秋から冬の時期に生でサラダに使えるたまねぎは「スマイルボール」だけです。たまねぎのいやなにおいも軽減されているので、手についたにおいや食べた後の口臭も気になりません。大人はもちろん、子どももパクパク食べられます。

  • 「スマイルボール」のパッケージには、推奨レシピを入れて販売しています。一番簡単でおすすめなのが、「スマイルボール」のフレッシュチップス。皮をむいて1センチ角くらいに切り、ハーブソルトとオリーブオイルであえるだけです。料理教室で人気なのは、「スマイルボール」の肉巻き。くし形切りにしてバラ肉で巻き、てりやき味で仕上げます。肉に火が通れば、たまねぎが半生でもOKというか、むしろ半生のほうが食感が残っておいしい。秋から冬は、ぜひ、「スマイルボール」をおすすめしたいと思います。

  • 私たちは、年間を通して、メニューに合わせてたまねぎを選ぶ売り場づくりを推奨しています。みなさまの中にも、そうした売り場づくりにご協力いただける方がいらしたら、ぜひご連絡ください。

◇質疑応答より

    Q:辛みがない「スマイルボール」は、硫化アリルが少ないということですか?
    A:硫化アリルの量が少ないのではなく、酵素がはたらかないだけです。特に何かの成分を抜いている、ということではありません。

    Q:辛み成分は火を通すと甘くなる、と聞いたことがあります。「スマイルボール」を加熱した場合はどうなるのでしょうか?
    A:「スマイルボール」をカレーやみそ汁などに使うとやや甘みは足りないと思います。どちらかというと生で食べたほうがおいしい、とお話しています。