■2023年3月 ファーム渡戸 渡戸秀行氏

ファーム渡戸
渡戸秀行氏

 私は練馬区で農業をしています。このたび、2022年度最後の八百屋塾で、「都市農業」と「江戸東京野菜」についてお話をしました。都市農業にはさまざまな課題がありますが、それでも野菜を作り続けているのは、こだわりや誇りをもっているからです。八百屋のみなさんには、そうした思いも汲み取っていただき、われわれの作った野菜を取り扱ってもらえるとありがたいです

  「練馬大根」、「後関晩生小松菜」、「馬込三寸にんじん」などの江戸東京野菜は、自家採種が必要だったり、作りにくかったり、数が採れないといったむずかしい面もありますが、品種改良されていないため、味は最高です。現在、50種類超が江戸東京野菜として認定されていますが、食べ方がわからないなどとの理由で買ってもらえないと生産量は増えていきません。ぜひ、八百屋さんに、江戸東京野菜の魅力や食べ方を広めていただきたいと思っていますので、ご協力をお願いします。

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【2023年3月19日 第12回 八百屋塾】講演「都市農業の現状」について 渡戸秀行氏

■2023年1月 宮城県農業・園芸総合研究所 野菜部 露地野菜チーム 技師 高橋勇人氏

宮城県農業・園芸総合研究所
野菜部 露地野菜チーム 技師
高橋勇人氏

 このたび、1月に開催された八百屋塾で、「セリ」をテーマにお話しさせていただきました。つたない内容だったかと思いますが、セリ栽培の歴史や栽培方法、宮城県での取り組みなど、みなさまの参考になれば幸いです。

 セリは春の七草のひとつとして、昔から日本人の食生活に欠かせない野菜です。現在では鍋商材としての需要も高まり、宮城県ではセリが主役のセリ鍋が名物となっています。さらに茎や葉はおひたしや炒め物に、根っこは天ぷらに、すべての部分をおいしく食べることができます。

  他の品目で徐々に機械化が進む中、セリはいまだにすべての作業が手作業です。店頭に並び、みなさまの手元に届く一束になるまでに、農家さんの多くの努力や工夫、こだわり、消費者の方々においしく食べてもらいたいという思いが込められています。八百屋さんは、そのような生産者の思いを消費者に直接伝えられる、非常に重要な立場だと感じています。みなさまのご活躍と、「八百屋塾」のさらなるご発展を祈念しております。

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【2023年1月22日 第10回 八百屋塾】講演「セリ」について 高橋勇人氏

■2022年12月 千葉県農林総合研究センター 鈴木健司氏

千葉県農林総合研究センター
鈴木健司氏

 千葉県は国内有数の農業県として、米、野菜、果樹、花木など多様な農産物を供給しています。千葉県農林総合研究センターでは、これらの産地における農産物の安定した生産や品質の向上をサポートし、また消費者の方々に安全で安心できる農産物が提供できるように新品種育成や新たな技術開発に取り組んでいます。

 今回の八百屋塾のテーマのサトイモをはじめサツマイモなどのイモ類、ニンジン、ダイコン、キャベツなどの葉根菜野菜は、その多くが火山灰土の北総台地で栽培されています。そこでは、イモ類・露地野菜を安定して生産するために、複数の作物を順番に栽培する輪作が行われており、サトイモもその輪作の主要品目の1つです。しかし、近年は、もうかる品目が限られ、需要の少ない品目は減少する傾向にあります。

 サトイモは、食の歴史が古く、地域文化にも根差した日本のソウルフードですが、残念ながら生産は減少の一途です。消費者がサトイモのおいしさに接する機会が減っているのではと危惧しています。サトイモや日本食の良さ知ってもらうには、まず食べてもらうことからです。そのような中で、産地から消費者からへの橋渡しとして、消費者へ食材の特徴、おいしさを直接伝えることができる八百屋さんへ期待には大きなものがあります。みなさまのますますのご発展を祈念しております。

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【2022年12月18日 第9回 八百屋塾】講演「さといも」について 鈴木健司氏

■2022年11月 一般財団法人いも類振興会 理事長 矢野哲男氏

一般財団法人いも類振興会
理事長
矢野哲男氏

 このたび、11月に開催された八百屋塾で、「じゃがいも」をテーマにお話をさせていただきました。じゃがいもは不思議な作物で、生育が早くて太陽エネルギー固定率が高く、ビタミンやミネラルに富む機能性食品でもあります。調理方法も、煮物、フライ、サラダ、スープと極めて多様です。このような作物は、ほかにはあまり例がなく、国民的に幅広く好かれる庶民的な作物といえるのではないでしょうか。

 そんな「じゃがいも」の世界を多くの人に知って欲しくて、30年近く前に『じゃがいもmini白書』(https://www.jrt.gr.jp/potatomini/)を日本いも類研究会のHPで公開したのですが、当時、消費者には男爵薯とメークインくらいしか知られてなかったと思います。

 あれから時代は変わり、最近では八百屋さんの店頭でも「キタアカリ」「とうや」など、さまざまな品種が並ぶようになりました。また、八百屋塾当日も参加されたみなさまからさまざまなご質問をいだたき、その熱意に感激しました。やはり、じゃがいもを消費者に届ける、その接点としての八百屋さんの位置づけは非常に重要であることを改めて痛感した次第です。これからも、ぜひ、よろしくお願いいたします。

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【2022年11月20日 第8回 八百屋塾】講演「じゃがいも」について 矢野哲男氏

■2022年10月 農研機構 果樹茶業研究部門 果樹品種育成研究領域 落葉果樹品種育成グループ 河野淳氏

農研機構 果樹茶業研究部門
果樹品種育成研究領域
落葉果樹品種育成グループ
河野淳氏

 このたび、10月に開催された八百屋塾で、「かき」をテーマにお話をいたしました。いろいろなご質問をいただき、みなさまの熱意を感じた次第です。雑駁な内容となってしまいましたが、国内果樹生産におけるかきの位置づけや主要品種の情報、かきの甘渋性や育種など、みなさまのご参考となれば幸いです。

 かきは日本に古くからある果樹で、日本各地で古来よりさまざまな利用がされています。品種も地域性があり、各地でその土地在来のかきが、量は多くはないものの今でも生産されているかと思います。地域の在来品種を用いた干しがきもいろいろとあります。こうした多様な品種を楽しむことができるのも、かきの大きな特徴と思います。

 その一方で、他の果樹と同様、かきの栽培面積も減少傾向となっております。シャインマスカットに見られるように、優良な新品種の育成・普及により生産が活気づくことは十分に期待できるところです。今後も優良な新品種育成を通じて、国内生産および八百屋のみなさまに貢献したいと考えております。

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【2022年10月16日 第7回 八百屋塾】講演「かきの甘渋性および品種育成について」 河野淳氏

■2022年9月 ホクレン農業協同組合連合会 東京支店 青果課 田中友二氏

ホクレン農業協同組合連合会
東京支店 青果課
田中友二氏

 このたび東京都青果物商業協同組合が主催する八百屋塾で、北海道産たまねぎの生産と流通についてご紹介させていただきました。

 一年を通してたまねぎを八百屋さんにお届けして、消費者のみなさまに笑顔で食べてもらう。その食べる人の笑顔に勇気をいただき、北海道の生産者のみなさんはまた来年、いいたまねぎを作ろうという気持ちになります。今後もおいしく食べていただければ嬉しいです。

 われわれホクレンは「つくる人を幸せに、食べる人を笑顔に」をコーポレートメッセージに掲げ、農畜産物の生産、流通、販売を担っています。「安心・安全」な農畜産物を生産し、笑顔で食べてもらえる食材を供給し続けます。

 今回はたまねぎを通じてみなさまに北海道のほんの一部をご紹介させていただきました。北海道の地はたまねぎ以外にも広大な土地で多種多様な農畜産物があります。これからもっと「北海道のファン」が増えてくだされば非常に嬉しく思います。今後とも「北海道」にご愛顧いただきますようよろしくお願いします。

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【2022年9月11日 第6回 八百屋塾】講演「たまねぎの生産と流通について」 田中友二氏

■2022年8月 ヴィルモランみかど(株) 国内営業本部 開発普及部 宮脇浩治氏

ヴィルモランみかど(株)
国内営業本部 開発普及部
宮脇浩治氏

 種苗メーカー「ヴィルモランみかど(株)」で、かぼちゃの開発・普及を担当しています。このたび、8月の八百屋塾で、「かぼちゃ」について講演させていただきました。

 日本国内のかぼちゃの作付面積は右肩下がりです。ここ10年で東京ドーム470個分もの面積が減少してしまいました。1人あたりの購入量も、年間で1.2キロと、1玉分に満たない状況です。かぼちゃを食べてくれる人がいなくなれば、生産者さんは作りません。消費者のみなさまにたくさん食べていただけるよう、八百屋さんのご協力をお願いしたいと思っています。

 緑黄色野菜の代表格であるかぼちゃは非常に栄養価が高く、免疫力のアップや美肌維持、老化防止、むくみ防止、便秘の予防や解消につながる成分が豊富に含まれています。「1玉食べよう」ではなく、「1切れ食べよう」というイメージを持っていただくと、日々の健康増進、腸内環境、ダイエットなどにいいのではないかと思います。

 かぼちゃは同じ品種だとしても、地域や生産者さんによって味が違うのが面白いところです。みなさんもぜひいろいろなかぼちゃを食べくらべて、自分好みのものを見つけてみてください。

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【2022年8月21日 第5回 八百屋塾】講演「かぼちゃを食べよう」 宮脇浩治氏

■2022年7月 タキイ種苗(株) 関東支店 奥原和武氏

タキイ種苗(株) 関東支店
奥原和武氏

 タキイ種苗(株)は、野菜や花の品種改良を行い、そのタネを販売している会社です。このたび、7月の八百屋塾で、今が旬の「なす」について講演をいたしました。

 弊社では、生産者さんの省力化や栽培のしやすさを念頭に、とげをなくした水なす「SL紫水」や、単為結果性をつけることにより、ハチによる受粉やホルモン処理に頼らず収穫が可能な「PC筑陽」、「PC鶴丸」などの品種を開発しています。

 こうした新品種のもととなるのは日本の全国各地に存在する「在来種」のなすです。長いものや丸いもの、大きいものから小さいものまで、その種類は実にさまざまです。また、焼きなすに向くもの、漬け物に向くものなど、それぞれ特徴がありますので、八百屋さんにはぜひそうした特徴を知って、用途に合わせてお客さまにご提案いただければ、と思います。

 暑い時期は、つい、さっぱりとした素麺を食べて済ませてしまったりするかもしれませんが、油と相性がいいなすを炒め物にして一品加えることで、夏バテ防止にもなるのではないでしょうか。なすにはカリウム、食物繊維のほか、抗酸化作用があるとされるアントシアニン色素「ナスニン」、造血ビタミンとも呼ばれる葉酸などが含まれています。たくさん食べて、消費の拡大につなげていただけたらありがたく思います。

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【2022年7月24日 第4回 八百屋塾】講演「なすの品種改良について」 奥原和武氏

■2022年6月 (株)埼玉原種育成会 栗田悌氏

(株)埼玉原種育成会
栗田悌氏

 (株)埼玉原種育成会は、主にきゅうりの育種とタネの販売をしています。6月、「きゅうり」をテーマに開催された八百屋塾で、「きゅうりの進化」と題し、講演をいたしました。作型や品種、産地についてなど、どちらかというと生産者さん向けの話が多かったかもしれませんが、きゅうりのよさが八百屋さんにも伝わっていれば幸いです。

 きゅうりは、「世界一カロリーの少ない果実」としてギネスブックに載っているほど、低カロリーな野菜です。水分が95〜96%と多く、過剰な塩分を体外に排出する利尿作用や、メタボなどの現代病の予防などに効果があるといわれています。デトックス食品、ダイエット食品として、お客さまに「食事前のきゅうり1本丸かじり」をおすすめしてみてください。

 また、漢方の世界では、きゅうりは体を冷やす食べ物に分類されています。これからの夏の暑さの中できゅうりの需要も伸びてくるのではないか、と期待しています。

 お客さまと対面で、「今日の献立に、きゅうりの浅漬けを一品加えたらどう?」などとご提案ができるのが八百屋さんの強みだと思っていますので、今後とも、消費者の方への橋渡しをぜひよろしくお願いします。

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【2022年6月19日 第3回 八百屋塾】講演「きゅうりの進化」 栗田悌氏

■2022年5月 タキイ種苗株式会社 開発部課長 宮本明典氏

タキイ種苗株式会社 開発部課長
宮本明典氏

 タキイ種苗(株)は、野菜や草花の種子を開発する会社です。このたび、5月に開催された八百屋塾で、「トマトの機能性表示食品」をテーマにお話をいたしました。

 弊社では、トマトをはじめ、にんじん、オクラ、ほうれん草など、機能性成分が豊富でおいしい野菜品種のタネを「ファイトリッチシリーズ」として販売しています。今後、野菜の消費量を増やすためにも、もっと野菜が持つ健康効果を啓蒙していかなければいけない、と考えています。

 生産者さんはもちろん、八百屋さんなどの販売者さんにも、そのための手段のひとつとして機能性表示食品の制度を活用していただきたいのですが、行政への届出に高いハードルがあるのも事実です。そこで、弊社では、これまでに蓄積したノウハウをもとに、機能性表示食品届出の支援業務を行っています。もし1軒の農家さん、八百屋さんだけではむずかしいとしたら、複数で提携して届出を行うこともできると思います。チャレンジしたいという方は、お声をお掛けください。

 近年、消費者の健康意識は高まっています。われわれが賛助会員として加入している日本ヘルスケア協会野菜で健康推進部会が行った調査でも、「野菜の成分に関心がある」は80%、「栄養素の多い野菜を購入したい」は65%を超えていました。消費者のみなさんの健康と野菜の消費拡大のため、ぜひ、八百屋さんのご協力をお願いいたします。

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【2022年5月22日 第2回 八百屋塾】講演「トマトの機能性表示食品」 宮本明典氏

■2022年4月 日本女子大学非常勤講師 管理栄養士, 料理研究家 松村眞由子氏

日本女子大学非常勤講師
管理栄養士, 料理研究家
松村眞由子氏

 私は今、大学で調理実習を教えています。教え子たちは、20歳で管理栄養士を目指している食べることが好きな子たちですから、人一倍食材には興味があるはずですが、野菜の名前やどこで売っているかを知らなかったり、まだまだ生活がともなっていないと感じることが多々あります。

  ある生徒は八百屋さんで、「〇〇を作りたいのですが、どうすればいいですか?」と聞きまくったそうです。お店の方は、若い子が来ていろいろ聞いてくれた、と喜んで、すごくよく教えてくれたそうです。それを聞いて、教師がいろいろ言うより、専門家の方にいろいろなことを聞くほうが伸びる、と感じました。八百屋のみなさんが先生になって「今日、何作るの?」と声をかけてくれると、「〇〇が作りたいんですけど…」「じゃあ、これがいいよ!」と話がつながっていくと思います。

 若者に教えてほしいのは、種類、料理に向く品種、よいものの選び方、残ったときにどうすればいいか、などです。今の時期は一番これがおいしい、というのもぜひ伝えていただきたいです。私たち教師だけでなく、八百屋さんのお力もお借りして、しっかりと旬の野菜のおいしさがわかる若者が一人でも多く育ってほしい、と願っています。

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【2022年4月17日 第1回 八百屋塾】講演「免疫力を高める野菜の活用術」 松村眞由子氏