■2019年8月 (有)コスモファーム 取締役 会長 中村敏樹氏
(有)コスモファーム 取締役 会長
中村敏樹氏

 

 八百屋という仕事自体は斜陽な産業になってきています。それはある意味日本の農業と全く一緒です。大手スーパーに押され徐々にその姿が消えていく小売業…。かたや海外の農産物に押され、また他産業との所得格差により成り立たないものになっている農業…。個業で頑張ってきましたが競争相手は組織や政治や国際情勢も絡んできます。

 八百屋は昔からご近所の情報をみんな持っていました。あの家は何人家族で、その家のおばあちゃんの歳から家族の好みまで知っています。また野菜の食べ方や旬のことも皆お客さまに伝えることも出来ました。そこから「八百万の神」…八百屋となったわけです。ご近所さまにとっては無くてはならない存在が八百屋でした。昭和40年代ごろより大手スーパーが隆盛を極め、小さな小売業はじり貧状態です。しかし、スーパーは効率重視のセルフ販売! 面倒な野菜は置きません。主要14品目を中心に一年中供給販売することを目的として売上こそが正義です。そんなスーパーで買い物をしてきた結果一般生活者は食や野菜に徐々に興味を失ってきています。

 日本は世界中で一番大根の種類が多くその食べ方も千差万別です。ところが生産効率や販売重視によりほぼ100%が青首大根に代わってしまいました。古来より栽培されてきた大根にはそれぞれ素晴らしい特性もあったはずです。そこに誰も疑問を持たないことが危険信号です。また、八百屋は残った野菜を糠漬けなどに加工し店先で販売もしていました。しかし、食品衛生法が厳しくなり今まで法律的にグレーだったものも黒とされる方向にあります。

 どんどん厳しくなる食の世界ですが人は食べなければ生きてはいけません。市場流通も徐々に減少する中、八百屋もその後追いでは叶いません。小さければ小さいなりの商売の仕方もあるはずです。スーパーにはない野菜を置きましょう! その食べ方を対面でちゃんと説明しましょう! 家庭内調理が減少する中、今後は惣菜にも力を入れて行きましょう! 個々の八百屋で出来ないなら共同で惣菜工場やカット野菜工場を作る手もあります。

 何もしなければそのまま商売が衰退するだけです。まず何から始めましょうか? いつから始めましょうか? 農業にも全く同じことが言えます。

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【2019年8月18日 第5回 八百屋塾】講演2「多品目少量栽培で成功できる! 小さな農業の稼ぎ方」 中村敏樹氏

■2019年7月 タキイ種苗(株) 関東支店 藤田守久氏
タキイ種苗(株) 関東支店
藤田守久氏

 

 タキイ種苗株式会社は京都市に本社があり、より良い種子をつくりだし、高品質の種苗を安定供給するとともに、農園芸資材商品を幅広いみなさまに提供している種苗メーカーです。

 7月の八百屋塾では「ナス」についてお話をさせていただきました。つたない説明で参加いただいたみなさま方には満足していただけなかったかと思っていますが、みなさま方の熱心さに助けられてナスの奥深さについてはお伝えできたのではないかと考えています。今後、そのような伝統を守りつつ、トゲなしや単為結果など生産者の労力軽減を含めた種子の持つ新たな可能性(タネ)を活かして、健康や生活の潤い、食の安全・安心と環境保全に貢献して、みなさま方の豊かな生活に役立ちたいと考えています。

 最後になりましたが、今回はナスを通じて八百屋塾に参加させていただきありがとうございました。ナス以外にも数多くあるタキイの野菜を、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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【2019年7月21日 第4回 八百屋塾】講演「ナスについて〜在来種からF1種への流れと今後の方向性」 藤田守久氏

■2019年6月 一般社団法人和ハーブ協会 理事長 古谷暢基氏
一般社団法人和ハーブ協会 理事長
古谷暢基氏

 

 日本は植生がとても豊かな国であり、人々は生活素材の大部分を植物に頼ってきました。米や味噌、漬けものなど、食卓を彩る伝統食材も例外でなく、ゆえに私たちの消化酵素や腸内細菌は、足元の植物によって作られてきたと言っても過言ではありません。

 しかし現代において野菜の種子は外資系企業に駆逐され、『種子法』によって主食の穀物までそれが及ぶ恐れが指摘されます。またそれら農産物は、同じ外資農業系企業により生産される生物毒の農薬や除草剤にまみれています。

 大量生産・安価の青果システムは、商業という側面や、ある層のお客さまには必要かもしれません。しかし一方で、インターネットやSNSの発達による消費者選択の自由と多様性、そしてインバウンド時代の到来のなか、日本古来の"ホンモノ"が求められています。

 まさに今、日本人の食文化と精神、そして食の安全を守る気概を持った『八百屋さん』を、時代は強く必要としているのではないでしょうか?

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【2019年6月16日 第3回 八百屋塾】講演「日本の足元のたからもの」 古谷暢基氏

■2019年5月 みかど協和(株) 新規ビジネス開発部 上野秀典氏
みかど協和(株) 新規ビジネス開発部
上野秀典氏

 

 私どもみかど協和株式会社は千葉とフランスに本社があり、世界中で野菜品種の育種・それに伴う種子の生産・販売を行っております。私は国内外の野菜産地や流通関係先を訪問して、品種普及のための栽培講習や現地指導を行っております。

 5月の八百屋塾では身近な野菜である「豆類」をテーマにお話をさせていただきました。豆類は、国内では古来より数多くの在来種が存在して、各地の食文化を支える重要な役割を担ってきました。一方、海外でも和食ブームの影響で、「枝豆:EDAMAME」が低カロリーで機能性にすぐれた食品として注目を集めており、おいしい冷凍枝豆を輸出しようという試みも始まっています。

 日本の豆類には、食味がよく機能性にすぐれた品種が多く存在しています。ボイルするだけで簡単に食べることができるスナップエンドウや、筋とり不要な平莢のビックリジャンボのように、簡単に調理しておいしくいただける品種も増えています。
今後ともこのような情報交換の場をいただき、小売現場の最前線であるみなさまと連携を深めて、消費拡大を進めていきたいと考えております。

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【2019年5月19日 第2回 八百屋塾】講演「豆類の豆知識」 上野秀典氏

■2019年3月 WaRa倶楽無 船越康弘氏
WaRa倶楽無
船越康弘氏

 

 私が経営する玄米菜食の宿「百姓屋敷わら」に大型観光バスでお客さまが来ていた当時、近所の農家さんが勝手にうちの厨房に入って、カレンダーの予定を写して帰っていました。都会の人たちが来るときは野菜を買って帰ってくれるので、うちの前庭に市が立つんです。それが八百屋という商売の起源ではないでしょうか。まず、おいしいものを提供する。それをどう食べるかという知識を提供する。おいしいものを食べれば、また食べたい、と思います。ただ儲けようとするだけでは、すぐにバレてしまいます。

 家族に食べさせたいものを本気で探して、情報を八百屋塾で共有すればいい。この商売は未来に責任を持っているんだ、と思ってください。1軒の農家さんとつながるだけでもいいんです。

 「もの言わぬものにもの言わすものづくり」、これこそが食品を扱う者として一番大事なことです。そこに愛と誠意と祈りと感謝をつけたとき、野菜や豆腐がものを言わずとも、必ずお客さまに通じます。

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【2019年3月10日 第12回 八百屋塾】講演「野菜がつくる豊かで明るい未来」 船越康弘氏

■2019年2月 デザイナーフーズ株式会社 市野真理子氏
デザイナーフーズ株式会社
市野真理子氏

 

 2月の八百屋塾で、「身体がもつ機能を取り戻す野菜のチカラ」と題し、テーマ野菜である山菜や柑橘類がどう身体にいいのか、春に食べる意味などについてお話しました。

 山菜はサッとゆでたほうがいい、といわれますが、近ごろは「サッと」というのがよくわからないという方が多い気がします。インターネットや料理教室でレシピを学ぶのもいいのですが、今、本当に必要なのは、母親から代々受け継がれてきたような「料理の基本」ではないでしょうか。

 鮮度がよくて野菜本来の味がするものは、「〇〇のタレ」などがなくても、塩、こしょう、しょうゆ、みそ、オイルといった基本の調味料があれば、おいしくいただけます。八百屋さんには、野菜の基本的なこと、扱い方、味、旬をきちんとお客さまに伝えていただきたい、と思います。

 野菜には多くの種類があり、新しい品種も出てきます。八百屋塾のような勉強会で学び、食べくらべを行って、たとえば菜の花だったら、1分と30秒ゆでたもの、冷水に取ったものと取らないものをみんなで食べて体感するのもとても大事なことです。

 これからも野菜・果物のプロとして、知識を伝承していってください。

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【2019年2月17日 第11回 八百屋塾】講演「身体がもつ機能を取り戻す野菜のチカラ」 市野真理子氏

■2019年1月 雪印種苗株式会社 園芸作物研究グループ 野菜研究チーム 小川拓也氏
雪印種苗株式会社
園芸作物研究グループ 野菜研究チーム
小川拓也氏

 

 雪印種苗株式会社は野菜・花・牧草・飼料作物の育種、生産、販売を行う会社です。私はコマツナ、寒じめホウレンソウの育種、開発を担当しております。

 今回の八百屋塾ではコマツナ、寒じめホウレンソウの歴史、成り立ち、おいしさをテーマにお話しさせていただきました。講演後にはコマツナの旬やおいしいコマツナの見極め方などたくさんの質問をいただき、皆さまには興味をもって聞いていただくことができたのではないかと安心しております。葉物野菜の食べくらべでは八百屋さんならではの感性で意見があがり、皆さまが野菜に対して求めるものを教えていただいた気がしています。われわれは今後とも生産者、八百屋さん、消費者の方に喜んでいただけるような品種を開発していきたいと思います。さらに私たちはコマツナ、ホウレンソウだけでなく、エダマメ、カボチャなどその他の野菜品目においても食味にこだわった開発を続けてまいりますので、よろしくお願いいたします。

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【2019年1月20日 第10回 八百屋塾】講演「小松菜・ほうれん草ほか冬の葉もの野菜」 小川拓也氏