■八百屋さんの食を伝える力に期待!

  八百屋さんの強みは、コミュニケーション力、伝える力ですよ。

 たとえば冬、ボクは「八百周」さんの店をのぞいて、店主の野本さんに「ある?」と聞くことがある。すると、野本さんは「あるある!」と言って、裏から根つきの春菊を出してきてくれるんです。

 根つきってのは茎を切って収穫した春菊じゃなくて、とてもやわらかくておいしい。野本さんは、葛西市場で「根つきが入ったら必ず買うよ」って言ってるんだそうです。

 ボクの好みがわかって、出してくれる。そして、その特長や産地、生産者のこと、食べ方の説明をしてくれる。そんなコミュニケーションってスーパーじゃできないでしょう?

 「やまけんは特別扱いされてるんじゃないの」と思うかも知れないけれど、そうじゃない。いい八百屋さんは、どんなお客さんも大切にするし、ちゃんと説明します。そういう店は流行ります。

東京八百屋ファンクラブ会員 山本謙治

 今、「食文化の崩壊」ということが言われますよね。実際、40代未満の人たちは、食の知識が伝承されてないんじゃないでしょうか。野菜を見て、それでどんな料理を作るかイメージできない。クッキングスクールで人気があるのは、目玉焼き、ごはんを炊く、みそ汁を作るといった初歩のクラスだといいます。

 みんな、おいしいものが食べたい。けれど、知識がない。だから中食を買ったり、テレビでだれかが「おいしい」と言うと、飛びついたりするんじゃないかな。

 だから、野菜のことをよく知っていて、それをちゃんと伝えてくれる八百屋さんはウレシイですよね。 ボクは、これからはコミュニケーション力のある八百屋の時代だ!って思ってるんです。

 

【“やまけん”こと、山本謙治(やまもと・けんじ)氏 プロフィール】

株式会社グッドテーブルズ代表取締役・農産物流通・ITコンサルタント。
1997年4月、野村総合研究所に入社。サイバーコマース事業部等、主に電子商取引のコンサルティング業務に従事。畜産業界団体・農産物流通団体のECビジネス事業を立案・プロジェクト化する。2000年5月、ワイズシステム入社。青果物事業部門を設立。2003年4月、「実践農産物トレーサビリティ」(誠文堂新光社)出版。2004年5月、ワイズシステム株式会社を退社、同社顧問に就任。株式会社グッドテーブルズ代表取締役就任。
主な業務は、農産物流通の戦略コンサルティング、食品商品開発・販売、トレーサビリティシステムコンサルタント(農林水産省事業受託実績あり)。
著書に、「実践 農産物トレーサビリティ」 2003年4月 誠文堂新光社刊、「やまけんの全国出張食い倒れガイド」 2005年5月 4×4マガジン社刊、「やまけんの出張食い倒れ日記 東京編」 2006年1月 アスキー社刊、「実践 農産物トレーサビリティU」 2006年6月 誠文堂新光社刊など。
雑誌への連載やテレビ、ラジオへの出演も精力的にこなすなど、多方面で活躍している。 ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」も大人気。